マイナーチェンジと言われる、HERO 11から12へのアップデート。
おそらく多くのブログ記事などで、その変更点などをまとめた記事を確認しているかと思います。
ですが、僕自身が確認しているかぎり、それらのブログ記事は本質的な理解がイマイチな気がしています。
というのも、撮影時間が伸びた仕組みへの認識が甘かったり、マイナーチェンジと言われながらも実は結構重要なアップデートだったり。
似て非なるHERO 11 と HERO 12
本質的な変化について、詳しめに解説していこうかと思います。
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GoPro新旧比較表【HERO 11】【HERO 12】
HERO 11 | HERO 12 | ||
---|---|---|---|
発売日 | 2022年9月14日 | 2023年9月13日 | |
ハード | 重量 | 154g | 154g |
センサーサイズ | 1/1.9インチセンサー | 1/1.9インチセンサー | |
バッテリー容量 | 1720mAh | 1720mAh | |
撮影時間 | 35分 5.3K@60fps | 70分 5.3K@60fps | |
ストレージ | SDカード最大512GB | SDカード最大1TB | |
スクリーン | 前:1.4インチ 後:2.27インチ | 前:1.4インチ 後:2.27インチ | |
防水性能 | 10メートル防水 | 10メートル防水 | |
動作温度 | -10°C〜35°C | -10°C〜35°C | |
GPS | |||
マウント | 折りたたみフィンガー | 折りたたみフィンガー 1/4インチネジ | |
映像 | センサー | 1/1.9 | 1/1.9 |
解像度@最大fps | 5.3K@60fps 4K@120fps | 5.3K@60fps 4K@120fps | |
最大ビットレート | 120Mbps | 120Mbps | |
画角 | HyperView|12mm SuperView|16mm 広角|16~34mm リニア |19~39mm リニア+水平ロックor水平維持|19~34mm | HyperView|12mm SuperView|16mm 広角|16~34mm リニア |19~39mm リニア+水平ロック/水平維持|19~33mm | |
Maxレンズ | Maxレンズ 155° | Maxレンズ2.0 177° | |
アスペクト比 | 16:9 4:3 8:7 | 16:9 4:3 8:7 | |
HDRビデオ | |||
GP-Log | |||
カラー | ナチュラル 鮮明 フラット | ナチュラル ビビッド フラット | |
ビット深度 | 8-bit 10-bit | 8-bit 10-bit | |
手ブレ補正 | HyperSooth5.0 | HyperSooth6.0 | |
マイク数 | 3 | 3 | |
定価 | 本体のみ | 54,800円→47,400円 | 62,800円→55,400円 |
まずはHERO 11とHERO 12の新旧比較表を載せておきます。
変更点はチェックマークとマーカーで分かりやすく示してありますが、それなりに変わったようにも感じます。
今回はセンサーサイズやF値の変更が無かったので、性能としての画質差が無いという事になりますね。
ここが恐らく、HERO12はマイナーチェンジだと言われやすい所以かと思います。
では、HERO 12で変化した点を、この表を基に「大きな変化」と「小さな変化」に分けて解説します。
HERO 12の優れる点(特に変わったところ)
個人的にHERO 12になって、特に大きく変わったと感じるのは以下の4つです。
- HDR動画撮影
- 連続撮影時間の改善
- 1/4インチネジ穴
- Maxレンズモジュラー2.0
ではひとつずつ比較していきますね!
HDR動画撮影
HDR動画の仕組みを知らない方は他サイトを参考にして頂きたいのですが、簡単にいえば暗い所を明るく、明るすぎる所は明るさを落とした動画です。
明るめの設定と暗めの設定を同時撮影して、内部で動画処理エンジンがうまく合成してくれる凄いシステム。
それのおかげで、日中の動画がより鮮やかに映る、と思って頂ければよいかと思います。
昨今のiPhoneとかが綺麗になったのも、この機能が多分搭載されているからってのもありますね。
弱点として、夜間はHDR動画は適さないのですが、GoProはおおむね日中撮影ですので恩恵のほうが大きいはず。
ちなみにInsta360もDJIも、新型はHDR動画搭載済み。
いずれにせよHERO 12でHDR動画が搭載されたおかげで、動画編集無しで鮮やかな動画が撮影できると思って良いでしょう。
良いアップデートです。
連続撮影時間の改善
HERO 11 | HERO 12 | |
---|---|---|
撮影時間 | 35分 5.3K@60fps | 70分 5.3K@60fps |
バッテリー容量 | 1720mAh | 1720mAh |
使われているのは同じくエンデューロバッテリーですが、撮影時間が伸びています。
これは二倍になったように見えて、バッテリー容量はどちらも1720mAhで同じです。
HERO 12の紹介によりますと、詳細がこのように書かれていました。
1HERO11 Blackで5.3K60撮影を行い、熱によるシャットダウンに至るまでの時間 (35分) との比較。気温25°C、風速0.6m/秒。
GoPro
つまり、60fpsで撮影したときに、熱暴走でシャットダウンしにくくなりましたという、実質連続撮影時間が伸びたという事。
とはいえ熱暴走に対して強くなったのは、普通にありがたいですね。
ですがコレに関しても、Insta360やDJIのほうが圧倒的に熱処理は上手です。
バッテリー性能が上がったとはいえ、まだまだ熱暴走とは縁が切れないGoPro。次期モデルでの改善をまだ期待したいところ。
1/4インチネジ追加
360度カメラではないので使うかどうかは別として、あって損は無いパーツですね。
手持ちで使うのと、三脚固定で使う場合は使い道があるかもしれません。
とはいえ画角が調節できないので、何かしらのマウントはつけっぱなしにすることが多そうですが。
Maxレンズモジュラー2.0
HERO 11 | HERO 12 | |
---|---|---|
Maxレンズ | Maxレンズ 155° | Maxレンズ2.0 177° |
HERO 12ではMaxレンズが2.0になり、画角がさらに広くなりました。
177°となればそれはほぼ180°ですので、より360度カメラに近い画が撮影できるかもしれませんね。
HERO 12の優れる点(細かい変化)
続いては、HERO 12への変更点として、細かい変化を挙げていきます。
人によっては気になるところかもしれません。
- GP-Log
- 9:16アスペクト比
- タイムコード同期
- インターバル撮影
- 手振れ補正(HyperSmooth6.0)
GP-Log
多くの人は使う事が無いと思われますが、編集前提であればLog撮影も視野に入ってくるかもしれません。パッとしない色になってしまうので、プロ向けの設定ですね。
よくLog撮影をRawデータと同じく扱う人もおりますが、Logはもう少しシンプル。彩度と露出メインにいじれるものでして、Rawほどデータ量を取りません。
余談ですが、HDR動画はきっとLogのデータから作成しているのかと考えます。
9:16アスペクト比
9:16はスマホ向けの比率ですね。
HERO 11から8:7という正方形に近づいた画角を搭載したので、どうせならスマホ向けに切り出した画角を用意してあげようという、GoProなりの粋な計らいだと思って頂ければ。
Insta360のフリーフレーム撮影と、GoProの8:7画角撮影は、立ち位置的にも似ていますね。
タイムコード同期
HERO 12を2個以上持っていれば、同時刻を合わせられる機能です。
本格的なYoutuberとか、TV番組とかで編集が楽になるかもしれませんね。我々は二つも買えません(笑)
インターバル撮影
タイムラプスの元になる、一コマ一コマを写真として撮影してくれる機能です。
都度明るさをイイ感じにしてくれるので、そこからタイムラプスを自作すれば、完成度の高いタイムラプスになるかもしれません。
個人的に写真は動画から切り出した方が楽だし、良い瞬間を狙いやすい。
手振れ補正(HyperSmooth6.0)
毎度進化するHyperSmoothですが、今回も6.0にアップデート。
とはいえGoProのブレ補正はいつの頃から完成度100点ですので、違いが分かるレベルじゃなくなりました。
それより薄暗い所でチラチラするのを改善して欲しいものです。
HERO 11と変わらない点
一方でHERO 11と多くの点が変わらないことで、マイナーチェンジと言われています。
画質全般
HERO 11からセンサーサイズが変わらないことで、画質全般に変化は出ていません。
HDR撮影が可能になったことで、実質的には鮮やかな動画が撮影しやすくなったとは言えますね。
重量・基本的な操作など
大きさも変わらないため、基本的に操作方法なども変化がありませんでした。
HERO 11のほうが優れる点
HERO 11にも優位な点があり、それも触れていきます。
GPS機能
HERO 11まで搭載されていたGPS機能ですが、廃止となりました。
そこからは他社と同じく、GPSリモコンを別売り枠として用意する形に。
発熱の問題で、おそらくGPS機能とバッテリー改善の同時アピールが難しくなったためとも考えられます。
価格
モデルチェンジにより、HERO 11が54,800円で購入可能になったので、8000円の価格差があります。
8000円の差額で上記のアップデートと天秤にかけるといった感じでしょうか。
11は有料サブスク登録無でも同じセール価格で買えるので、一つ有難い所ではありますね。
GoPro HERO 13に期待したい点
ここまでHERO 12への進化点を述べてきましたが、個人的にはまだGoProに改善点が残っていると思います。
最後に他のメーカーとの比較をしながら、HERO 13に期待したいアップデートを述べていきます。
センサーサイズ
1インチセンサーが囁かれていたHERO 12ですが、11と同じ1/1.9インチセンサーに落ち着きました。
ライバルDJIとInsta360のアクションカメラは、2023年末には1/1.3インチセンサーを搭載したモデルで並び、GoProは相対的に劣る立場に。
決して画質は悪くないGoProですが、どうしてもスペック的に他に劣ってみえるようになったので、次の13のセンサーサイズにも期待したいところ。
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熱暴走
本文でも触れましたが、HERO 12になって熱処理は改善したものの、それでも熱暴走にはまだまだ弱いです。
GoPro HERO 12 | Insta460 Ace Pro | DJI Osmo Action 4 | |
---|---|---|---|
容量 | 1720mAh | 1700mAh | 1770 mAh |
録画時間 | 22分 | 68分(バッテリー切れ) | 55分 |
同条件で撮影した場合、Insta360に比べると3倍も速く停止することもあり、まだまだ改善の余地はあるのだろうなと感じます。
マウントシステム
DJI、Insta360がクイックリリースマウントを採用し、思っていた以上の扱いやすさにストレスがかなり少なくなりました。
クイックリリースと言えど、耐久性も十分すぎる程備わっていますので、マウントに関しても後れを取っている印象。
従来のネジ固定式を貫くのも良いですが、時代はより手軽で簡便な方へと流れていますので、そろそろGoProも使いやすさを重視する頃かもしれませんね。
モニター性能
DJIは両面タッチスクリーン、Ace Proは可動モニターで、表面の使いやすさが向上。
タッチスクリーンの点でも、実はコストが抑えられていると言ったところ。
夜間性能
センサーサイズも小さいままで、GP2プロセッサーにも変更がありませんでしたので、当然ながら夜間性能も据え置き。
Ace Proという大きなライバルの出現で、暗所や薄暗い場所での性能において、非常に痛い差が付けられてしまいました。
こちらもGP3プロセッサーへのグレードアップにより、ある程度の改善が見込めますので、HERO 13でAce Proに対してどこまで対抗できるかが、今後のポイントになってきそう。
HERO 12は改善もあるが、課題も多し
マイナーチェンジと揶揄されていたHERO 12ですが、個人的には下手に大型化するよりも、GoProらしさを保ったままの順当な進化と感じています。
もちろん目立った進化こそないものの、バッテリー性能やネジ穴追加等、手軽なHDR撮影など、ネガティブイメージを補完するような改善が見られました。
HERO 11 から12への変更点は確かに印象が薄いものの、不満点を改善してくるという点では、及第点なのかなと感じます。
それでもここ数年、ライバルInsta360の追い上げが強く、性能面や使いやすさで大きく離されてしまう立場にあるGoProです。
今は何とか知名度で保っているものの、HERO 13、14と適当な進化をしていては、おそらく抜かされるのも時間の問題。
そういった意味でも、次のHERO 13には期待が高まりますね。