初めてのBCは3年前。
白馬中腹までのハイクアップの後、コチコチガスガスBCを僕だけが経験していた。
が、
あれはBCとは言えない、それはそれは無残な景色とバーンだった。
それから3年…
うわー---!!
春の立山、ひろーい!
どこでも滑れそうだ!!
僕たちの心は、心底ワクワクしてたまらなかった。
コイツがユースケ、つやっつやのBC童貞だ。
そして僕たなりょう、悲惨な初体験から3年のトラウマの末、本日セカンド童貞を卒業しに来た男だ。
あの雪渓かな?
それともあそこかな?
どこまで見渡せど、胃もたれするような青と白色。
天井はギラギラ、足元はザクザク、浮かれ気分で雪渓歩きを楽しむ。
さ!
どこを滑っても、気持ちよく滑ることができそうだ!
ポチ君たち!
雄山の山頂は見えるかい!?
(ここでは僕はなぜか、ポチ君なのだ)
はい!
雄山山頂から、ギリギリ雪渓がつながってるよ!
良かったね!!
…はい?
あの雪渓を滑るから!
(この人は何を言っているのだ?)
(この人は何を言っているのだ?)
僕たちは、BC童貞にして雄山山頂に連れていかれることになったのだ。
とはいえこいつはすぐにフザける。
それは、この人もおんなじ。
そしてそれは、僕もおんなじ。
まともな判断ができる人間は、ここにはおるのか?
スノボを担いでいる以外はただの登山だ。
後ろをただただ付いていく。
そして本当に、雄山山頂まで登ってしまったではないか。
さっきまでフザけていたはずの僕らは、斜面上に来てからというもの元気がない。
持ってきたブーツに履き替えながら思う。
本当に滑るのか? と。
僕はここで、大きく大きく、
ため息をついていた。
師匠がなにやら言うてるが、僕らが華麗に滑っているビジョンはひとっつも沸かないw
それだというのにあの人は、見えないところまで行ってしまった。
…
ま、まままま、
いったん落ち着こか?w
ユースケに諭す。
僕たちが履いているのはアレ(ミニスキー)じゃあない。
ただただ扱いづらいキャンバーのゲレ板なんだと。
慎重に行けと、
無理をするなと、
そうして出発したユースケは、秒殺で落ちていった。
おいおいおいおいおいおいおいおいおいwwww
ピッケルピッケルピッケル!!!!
運よく下のガレ場で止まったようだ。
後に知り合いの、隣にいた彼(大嶺君)も緊張している。
どうも僕たち、この雪質と斜度に慣れていないようだ。
それもそのはず、ゲレンデ最終は3月でシーズンアウト。
休日ボーダーの、それもただのグラトラーだ。
この斜度と5月の雪質に対応できるはずがなかったのだ。
下ではユースケが、近くの叔父様方にご教授頂いている。
僕もそれを聞き漏らさず理解し、心落ち着かせる材料とした。
彼が人柱になってくれたおかげで、ヒールエッジは話にならないことがよーくわかった(笑)
トゥエッジのみを利用し、逆木の葉&ピッケルを命綱にチキチキ下りを選択。
なるほどこれなら命は保証されるか。
そうしてどうにか皆に合流。
緊張していた大嶺君は、なんの心配もなく颯爽と滑って来た。
なんじゃい上手いじゃあないか!!
実に裏切られた気分であった。
そして師匠は僕たちにちゃんとルールや注意点を説明してくれる。
いきなり雄山山頂に連れていくような非常識だと思ったら、ちゃんとわかりやすく教えてくれるところが僅かに悔しいところ。
そして颯爽と行ってしまうのだ。
くそー--
上手いなぁ
そしてユースケは、今度こそトゥ木の葉で降りてった。
僕はここから、ヒールエッジも使ったドリフトザリザリクソドヘタクソターンで降りた(笑)
それでもこの景色の中で、ほぼ貸し切りのゲレンデだ。
冷静に考えて、めちゃくちゃ素晴らしいのではないか??
ここらでスイッチが入り、ネガ発言野郎は一気に語彙力チンパンジーに。
いいぇええええええええいいいい!!!
ふうぅぅぅぅっぅぅうwwwwwww
クラッシュする余裕まで出てきた!
そこから先は偏差値が20くらい下がっている。
あっひゃひゃひゃひゃwwww
くぅぅぅうぅぅぅぅwww
イャオ!!
一通り滑り切った後、安全な場所で反省会という名のゲラゲラトークに。
そして信じられない発言を聞く。
だいたいみんなね、僕に騙されて変なところに連れていかれるんよねww
バックカントリーの先輩におーこられちゃうよーw
「初めてのバックカントリーで、雄山の南西ルンゼ??」ってww
やっぱそうだったのかよwwwww
まったく、無茶苦茶してくれるぜ。
だがしかし、これでBCベーシックコースは経験したと言えるだろう。
次は劒だね!
練習あるのみっすね!!
練習あるのみっすね!!
そう、僕たちはまた一つ、成長できたのだ!
翌日…
あそこが劒だねっ☆!
山頂は50度くらいの斜度かなっ!?
下が見えないけど、落ちながら滑るって感じだよー。
へ、へぇ~…
あっははぁ~…
劒山頂からの滑走は、頭のネジがすべて飛んでイってしまえばの話になりそうだ。
二日目のコースは雄山に比べりゃメロウもメロウ。
前日撮影の余裕がなかった自撮り映像
自分もカッコよく映してやらねばな!
こうして僕たちの、BC童貞・BCセカンド童貞は無事卒業できたのでした。