どうもこんにちは!
野営回数は3ケタを超えました、たなりょうです!
今回は、中華バーナーでありながら、国内外で高い評価を得ているBRSの3000Tを使ってみましたので、レビューしたいと思います!
中国の格安&最軽量バーナーです。
色々と心配ですよねww
爆発せんかいな…
ちゃんと沸くんかいな…
燃費とか鬼悪だったりせんよな?
こんな恐怖心だとか、疑いの心を持ってもしゃーないと思います。
だって僕も怖かったんだもの!
今回は、そんな安全性に対する多くの意見や見解をまとめつつ、国産であるSOTOのバーナーと比較検証をしていこうかと思います。
結論として、もちろんですが爆発することは無かったですし、火力も申し分ないものでした。ですが僕が抱いた感想は「BRS-3000Tはちょっとクセのあるバーナー」でした。
良いものではあると思いましたが、決して万人にオススメできるものではありませんでした。
このバーナーに対する安全性や使い勝手について、この記事を読んであなたの判断材料に使っちゃってください。
BRS-3000Tの性能
まずはさらっと製品についての説明。
メーカー | BRS(兄弟捷登) |
重量 | 26g |
火力 | 2700w |
材質 | チタン合金 |
何より特徴的なのが、26gという軽量性なのは言うまでもありませんね。現存するバーナーの中で世界最軽量ではないでしょうか。
日本を代表するSOTOのバーナー、ウィンドマスターすらステンレスを使用しているので、チタンのバーナーというだけで価値を生み出しそう。
そんなスゴそうなバーナーなのになぜ、こんなに不安なのでしょう。
それはおそらく、2000円という格安さと「中国」という国が作っていることでしょうww
BRS-3000Tの安全性
これからBRS-3000Tについての紹介をしていきますが、安易に勧めはしないので、データや口コミをご参照の上ご判断ください。
BRS-3000Tは、日本で定められているPSLPGマークは取得されていません。
仮にBRSが日本のメーカーだとしたら、これを販売できないというわけです。ですがAmazonでは平気で販売されていますね。まずはこれを念頭に入れておいてください。
PSLPGマークを取得していませんが、SGSという認証についてはメーカーがアピールしていました。
SGS(仏: SGS S.A, Société Générale de Surveillance S.A.)は、スイス・ジュネーヴに本拠を置き、検査、検証、試験、および認証を行う企業。
Wikipedia
国際的に認められている検査を通っているメーカーとしては、全くの危険道具ではない、と言えそうです。
作りはしっかりとしている
ネジはキツさや緩みは感じられず、各ゴトクの硬さは均一でした。
安物はこのあたりにバラつきがあることが多いので、この点はさすが金物産業が得意な永康市のメーカーだなと感じます(永康市については後程説明します)。
取り付け、取り外しでのガス漏れなし
小見出しの通りですが、取り付けと使用後の取り外しの時の著名なガス漏れはありませんでした。
「著名な」としたのは、例えばSOTOのバーナーを使ったときにも、「ポンッ」って音がしたりします。
これは正常現象で、BRS-3000Tにも見られました。
これをガス漏れとは言えませんね。
マメ知識として一応
バーナー部分とガス缶の間に残ったガスが、取り外しの時の圧力開放にて一度だけ鳴ります。逆に、それだけ気密性が高いという意味でもあり、正常な反応の一部です。
BRS-3000Tの安全性に対する意見を調べました
Twitterにて確認を致しました。
具体的には「BRS-3000T 爆発」「BRS-3000T 安全性」「BRS-3000T 事故」という日本向けのサーチと、米国人気も高いとのことなので「BRS-3000T accident(事故)」でも検索しましたが、これといった報告は確認されませんでした。
ちょっと水を差す物言いになってしまうんだが
— tomy (@toymcyc) January 26, 2021
僕もBRS-3000tの風防を昔作った事があるんだけど、輻射熱が凄くてバーナー本体が熱くなり過ぎた。
OD缶のバルブが溶けてガスが止まらずあわや大事故になりそうだった
これはそれっぽいと思いましたが、どうやら風防を使用して危険だったという、OD缶の話でした。
(※後程理由が分かったので記載します)
ということで、今のところ報告されるBRS-3000Tの事故はないと言っていいでしょう。
では実際に使ってみたレビューを細かく分析ながら紹介します。
ガスの強さは本当か?
まずはガス全開で炎の出方を調べてみましたが、結構イイ感じです。
参考までに、SOTOのウインドマスターになります。
炎の出方としては上方型で、ウインドマスターと似たタイプ。シェラカップやコップなどの小さいクッカーに向いていますが、フライパンやストームクッカーなど広い範囲を熱したい場合は不向き。
このあたりは小さなクッカーを利用するUL志向に適していると言えます。
超軽量バーナーと最小限のクッカーを用意して、ULギアで揃えた軽量ハイクを行うのもいいものですね。
ガスの強さ比較(ウインドマスターと)
メーカーでは2700kcalと表記されます。
これは湯の沸く速さと直結してくるので、非常に重要視したいところ。
ということで、僕の愛用するウインドマスターと比較。OD缶は所持していたSOTO製品を使用しているので、ウインドマスターのほうが有利と言えるかもしれません。
- ガスはどちらも全開で比較
- 常温から沸騰開始までの時間を計測
- 300ml(カップラーメンを目安)
- OD缶にはSOTO製品を使用
まずはウインドマスターから
ちょっとボタンを押すのが遅れましたので、実際には1分58秒ほど。約2分でした。
ちなみにウインドマスターは2800kcalです。
続いてBRS-3000Tの検証です。
えっ?、ええっ!?
即効沸きましたw
2700kcalと言われますが、ウインドマスターが本音ならばこいつは3000以上は軽くあるんじゃあないかと思うほどの火力。
何はともあれ、火力が足りないということは無さそうです。
というか、鬼沸きしますw
BRS-3000Tの燃費の話
続いて燃費の検証をしてみました。
開始時は379gが実測値でした。
続いてBRS-3000Tを使用した(沸騰)後です。
7gのガス消費が分かります。
続いてウインドマスターは5gの消費でした。
ここからわかることは、全開にしたときの燃費はウインドマスターのほうが良いということです。
しかしこれは、火力の問題にあると僕は思っています。
コンロで湯を沸かす際、無意味に火力を最大にしていませんか?コンロの火力は鍋の大きさに合わせて調節しましょう。炎が鍋の底からはみ出さない程度の火力にすると、多少時間はかかりますが、ガス代の節約になります。
湘南液化ガス
つまり、火力は高すぎても無駄が多いということ。
BRS-3000Tはウインドマスターと比較しても圧倒的に早い湯沸かしが可能でした。それは、おおよそ2700kcalを超えているであろう超火力にあります。
実際にBRS-3000Tは火力の強さもありますが、燃焼時の音の大きさが感じられました。
それで5gと7gという燃料消費の違いは、妥当性のあるものと僕は思います。
BRS-3000Tのデメリット
炎の出方が直線的
いわゆる湯沸かしに向いた形状で、炊飯やフライパン調理に向かないということです。
プリムスのフェムトストーブ(超軽量)、ウインドマスターがこれに該当します。
シェラカップや軽量コップと相性がいいですが、大きなクッカーでは中心の焼きムラが出やすいのはデメリットと言えるでしょう。
イグナイター非搭載
超軽量ボディのため、もちろんイグナイターを搭載しません。
ですがこれ、デメリットではなくむしろメリットと感じています。
イグナイターは壊れるもの
名言やね
僕のも壊れた
「イグナイターは壊れるもの」と言っても過言ではないほど、壊れます。友人のものを含めて、過去3種類壊れたイグナイターを見ています。
テント場でご一緒したオジサマ方も、たいていイグナイターは壊れています。
壊れるものをわざわざ搭載しないでくれ、と言いたいくらいである。
ですのでイグナイターを搭載しない潔さは褒めたいところ。
お荷物を永久的に搭載しているより、フリントライターや社外イグナイタなどを別で用意したいですね。
ひとまずデメリットとしてはこんなところでしょうか。
その他BRS-3000Tについて
チタン焼きが可能です。
ウインドマスターはステンレスなので、使用によりどんどん茶色くなってきました。
対してBRS-3000Tはチタンなので、高火力で使用することでチタンブルーに焼き入れが可能でした。
ギアを愛する方々には、ほんのり嬉しいポイントかもしれません。
せっかくなのでウインドマスターと並べて撮影してみました。
67gと26gなので、2.5倍ほどの違いがありますね。
やっぱり小さいです。
こうやって見てて、ブログを書いてて気が付きました。
ヘッドとOD缶との距離が短くなるので、風防使用による輻射熱に注意したいですね。
それでさっきのあのTwitterか!とようやく理解しました。
他のバーナーでも注意喚起されている使用方法については、より神経質になってくださいということですね。
その他商品と比較
ギガパワーマイクロマックスウルトラライト | BRS-3000T | プリムスフェムトストーブ | |
---|---|---|---|
重量 | 56g | 26g | 57g |
火力 | 2800kcal | 2700kcal? | 2100kcal |
イグナイタ | × | × | 〇 |
スノーピークのギガパワーはぶっ壊れるのであまりおすすめはしませんw
気になる方はこちらをご参照ください。
3つ比較してみましたが、BRS-3000Tが圧倒的に軽いですね。
フェムトストーブはイグナイター付きですが、別途イグナイタは14g(MSR製品)なので、足し算しても余ります。
そもそも2100kcalなんてのは弱すぎて、湯沸かしにえらい時間がかかります。
弱いガスはストレスなので、ほんまオススメしん。
続いて、より詳しく知りたいという方に向けて、BRSというメーカーについて補足したいとおもいます!
安全性やメーカーの特性がよくわかるで!
BRSというメーカーについて
BRSは中国の永康市のメーカーで、2007年にアウトドア参入をしました。
この永康市というのがちょっとポイントで、ここからは気になる方のみ見てください。
中国の金属加工産業都市・永康市
永康市というのは金華市の中にあり、金華市は浙江省の中にあります。
…すみません(^^;
簡単にまとめますと、中国の海側にある、とある都市だと思ってもらえると良いです。関東という大くくりの中の、千葉県みたいなものだと思ってください(規模はもっと大きい)。
で、浙江省というのは他の市もあるのですが、総じて何かしらの産業が発展したエリアになります。具体的には、○○市は靴下産業・○○市はPC産業・○○市はプラスチック産業といった具合。そして、BRSのある永康市というのは金属加工産業がさかんとされています。
永康市の中心部はむしろ「機械産業・金属加工業の複合的な産業集積」と見た方が実態に即しているといえよう.
浙江省と広東省の産業集積の分布
「産業集積」とありますね。
上記の資料にかかれていることを簡単にまとめてみます。
- とある産業が成功すると、周囲の人がマネる
- マネて自ら起業する人が増える
- それが集積し、街全体がある一定の産業で活発化
始まりは一個人のビジネスだったはずが、町や地域全体の文化や産業までに発展したようです。
そしてこれ、どうやら中国という国民の特性だそう。
パクリ文化というのはあながち間違いではないようですが、上手くいっている事柄やパターンを取り入れるということは非常に大切なことです。
ここで日本の職人の町・燕三条をみてみましょう。
江戸時代には和釘づくりが農民の副業として奨励され、江戸の大火などで需要が急増したこともあり、産業が拡大し、専業の職人も育っていきます。
discover japan
燕三条は、和釘の需要により育った職人の町です。
やはり需要があれば周囲も便乗し、現在ではその技術を活かした鉄鋼業が、形を変えて今に至ります。
とまあ、燕三条を例に出しましたが、浙江省は金属加工産業の他にもPC産業やプラスチック産業まで多岐に渡ります。
参考までに
総面積
燕三条=542.93k㎡(燕市+三条市)
永康市=1049k㎡
浙江省=101,800k㎡
総人口
燕三条=168,664人
永康市=564,000人
浙江省=64,567,588人
浙江省のくくりでは、とんでもない規模の産業地域と言えそうです。
永康市単体では、単純に人口や面積を見るだけでも燕三条の2~3倍の規模で金属加工産業が行われているともとらえられそうです。
長くなりましたが、BRSについて
そんな永康市のメーカーのBRSはどんなメーカーなのかを考えます。
年間売り上げは15億元とされていますが、1元20円換算で300億円。だいたいこれは企業としては中堅以上とされていますね。取り扱う製品は主にバーナー類で、超軽量バーナーからキャンプ用CD缶バーナーやツーバーナーまで非常に種類は豊富です。
その他ランタン・シェルターなど、需要のありそうな「汎用品」は一通り取り揃えています。バーナー・ランタン・シェルターと聞いてパッと浮かぶのは、コールマンですね。バーナー類の取り扱い種類はSOTOを超えますが、範囲はコールマンより少し劣る(寝袋などが無い)といった位置づけ。
このように、よく見かける汎用品は取り揃えていますが、ゴアテックスやポーラテックのような素材メーカーと提携した商品は見当たりません。
その割に、アイゼンに関しては軽量タイプからアルパイン用まで取り扱っています。
おそらくこれは、得意な「金属加工」を活かすことで、品質を保った製品が作れるためだと思われます。
ということで、BRSは永康市の金属加工産業が盛んという特性ならではの製品(チタンバーナー・アイゼン等)をメインに取り揃えていると言えそうです。
いいバーナーだと、僕は思う
安全性は日本公式ではありませんが、事故報告は存在せず、国際的には認められたメーカーだということが分かりました。
火力に関しては、表記よりも強いんじゃあないか?と思う火力を持ち、燃費に関しては著しく燃費が悪いということも無さそうでした。
イグナイター非搭載、料理や大鍋に向かないという当然ともいえるデメリットがありますが、ULギアとの相性は良さそうとも言えました。
なかなか良い道具だと思いましたがいかがでしょう?
あくまで軽量ギアとして、サブで所持するバーナーのポジション。軽量ギアで揃えていつもより軽快に、いつもより遠くのテント場まで足を運んでみるのもいいですね!
読んでくれてありがとう!