軽アイゼン、アイゼン、セミワンタッチアイゼン…
種類が多く、爪の数も様々。ましてや、10本でも軽アイゼン?
今度冬山に行くのですが
アイゼンはどんな種類が適していますか!?
こんな疑問に答えていこうと思います!
まずは行きたい山で考えよう!
あなたが行きたい山はどんな山ですか?
まずはそこを教えてください! そうすれば、選ぶべきアイゼンの種類がみえてきますよ!
①標高が低い・勾配が少ない・6月以降の残雪など滑落の危険の少ない登山
②冬の八ヶ岳、北アルプス、谷川岳など、メジャーな厳冬期~残雪期の雪山
③アイスクライミング
まずは、目安として上記のどのタイプの山に当てはまるかを考えておきましょう!
番号 | 山の目安 |
---|---|
① | 高見山、鈴鹿山脈、白馬大雪渓(夏)など |
② | 伊吹山、谷川岳、八ヶ岳、北アルプス、赤城山、その他の雪山 |
③ | クライミングルート、バリエーションルート |
おそらく、この記事を読んでくださっている方は、①か②を想定しているかと思います。
実際は、想定しているよりも、さらに未来を想定するとよいと思います。
次回の雪山が低山だったとしても、将来的に八ヶ岳にチャレンジしたい!という方は、②を想定するということですね!
それでは、次にアイゼンの種類について、詳しく紹介していきます!
アイゼンの種類と爪の数について
アイゼンには、6本・10本・12本など、爪の数での分類と
ベルト式、ワンタッチ式など、固定方法での分類があります。
6本アイゼン(軽アイゼン)
①の低山や夏の残雪のみをカバーします。
山によるので本当にざっくりとした目安ですが、冬季であれば1000m程度の山まで
ととらえておくと良いでしょう。
6本アイゼンは足の裏部分にのみ爪がついております。
見ての通り、ベルトでカカトと足の甲で固定しているだけなので、きつい斜面を登ると、ずれやすいです。
また、つま先に爪がついていないので、踏ん張りがききません。
・あくまで、緩い傾斜の山専門と思っていただくと良いでしょう!
ラチェット式のベルトで脱着が楽です。軽アイゼンの中でも、小さすぎず大きすぎずといった、ベーシックな位置づけです。
エバニューの軽アイゼンは、SサイズとLサイズがあります。
上のものは、25㎝~28㎝対応のLサイズとなりますので、お間違えの無いように。
部品調達から組み立てと、生産をすべて国内で行っているアイゼンです。
固定もベルトであり、足の裏部分が引っかかるようになっているので、外れる心配も少ないでしょう。
10本アイゼン(軽アイゼン)
10本アイゼンで軽アイゼン?
と思う方もいらっしゃるでしょう。
実は、本格アイゼンと軽アイゼンの中間的なアイゼンがあります。
それがこの10本の軽アイゼンです。
目安としては、①低山~②入門の厳冬期登山といったところです。
用途としては、やや勾配のある山を歩けるようになった軽アイゼンという位置づけです。
カカト部分とつま先にかけて、爪があります。
登りはつま先にある程度の力をかけることができ、下りはカカトの爪でグリップします。
ただし、爪が短いため、後述する本格アイゼンと比較するとグリップ性に落ちます。
エバニューの10本爪アイゼンってどうなんだろう。6本と重アイゼンの中間って位置づけなのかな。歩きメインで急な登りがなければ十分なのかな。
— みれい (@mirei) October 3, 2010
①と②の間なので、有名どころで選ぶと、八ヶ岳の北横岳程度であれば行けるくらいですね。
・カカトとつま先が使えるので、ある程度の斜度があっても歩きやすい!
10本アイゼンで軽アイゼンの位置づけになる種類は多くありません。
購入しやすい価格で話題になったのが、このエバニューの10本アイゼンです。
本格アイゼンのつもりで買われる方も多いので、用途には注意が必要ですが、軽アイゼンとしては十分な性能を持ちます。
Sサイズが22~24.5㎝ Lサイズが25~28㎝です。
紹介したのがLサイズになるのでお間違えのないように。
10本アイゼン(本格アイゼン)
ここからが、厳冬期の一般登山ルートの多くをカバーすることができるレベルになります。
前述の軽アイゼンと比較すると、行けるようになる山が非常に増えるといった印象です。
このタイプは、ベルト固定式であり、夏靴~冬靴まで、どの登山靴にも対応するため、使い勝手はかなり良いです。
②厳冬期の八ヶ岳~アルプスの一般ルートや稜線歩きは、このアイゼンが一番使いやすいと思います。
これは、現在は販売していないものにはなりますが、ベルトで固定するタイプのアイゼンです。
ハイカットの夏靴につけて1月の八ヶ岳を登った時の写真になります。
- では、10本の軽アイゼンとの違いは何なのでしょう?
-
主に爪の長さになります。特に前爪は長くできています。
- 前爪が長いということはどんな利点があるのでしょう?
-
斜度のある雪面に対して、つま先をぶっ刺せるので、滑ることなくガンガン登っていけます!
- ベルトでの固定は安定性には欠けないですか?
-
後述するワンタッチ式ほどの固定性はないですが、適度な柔軟性があるので歩きやすく、外れることもありません。
上の写真は、3月の伊吹山の登山の写真です。9合目付近は斜度が45度程度あり、体感でもかなりの斜度となります。
アイスバーンでもない限り、つま先の前爪を刺して楽に登っていけます。
・春~夏の残雪期には、夏靴に対して装着することで、軽アイゼンより安心した雪渓や残雪歩きが可能!
・厳冬期には、冬靴に対して装着することで、アルプスや八ヶ岳の稜線など、斜度のある雪面も安心して登れる!
アイゼンのみでなく、雪山登山メーカーとして有名なのが、ブラックダイヤモンドとグリベルが主でしょう。
コンタクトは、10本アイゼンですが長い爪を持つ、ベーシックなアイゼンと言えるでしょう。
錆びにくいステンレススチールを使用しています。
対応サイズは23㎝~29㎝となります。
クラシックの名の通り、グリベルのアイゼンのベーシックモデルです。爪がクロモリと呼ばれる、いわば鋼です。
固い雪面や氷に対して有利な素材となります。
ブラックダイヤモンドのコンタクトと比較して、一足あたり40gほど軽量となります。
対応サイズはフリーサイズとなります。
12本アイゼン(セミワンタッチ・ワンタッチアイゼン)
5万円以上するような、厳冬期用の登山靴専門に装着できるアイゼンになります。
10本アイゼンよりも長く鋭い爪、より硬い固定制で、アイスバーンや溶けかけて沈みやすい雪でも、ガンガン登っていけます。
爪の形も、ギザギザしているなど、より雪面に刺さりやすい構造をしています。
その装着方法は、慣れればベルト式よりも早く装着が可能です。
このように、厳冬期用の登山靴には、コバとよばれるアイゼンを引っかける場所が設けられています。
前後とも引っかけるタイプがワンタッチアイゼン
前方はベルトで、カカト側が引っかけるタイプは、セミワンタッチアイゼンと呼ばれます。
装着は、ベルトを用いずに装着するワンタッチが、柔軟性に欠け、強固な装着が可能です。
ただし、ワンタッチアイゼンは、アイゼンの真ん中部分で露出した岩や雪を踏んでしまうと、衝撃で外れてしまうことがよくあります。
実際私も、勢いよく斜面を下っていたら、アイゼンが外れていたなんてことは結構あります。
ワンタッチアイゼンはソールが撓むと外れるのでセミワンタッチアイゼンが主流とも聞く
— 似非キチ (@HUMMYbrawny) October 14, 2015
他にわかったことは、ワンタッチアイゼンよりセミワンタッチアイゼンの方が外れにくいということです。装着しやすいのはワンタッチアイゼンですが、、、
— yamadagawa (@hkhg_y) January 9, 2020
ワンタッチアイゼンが外れやすいという声は、結構多く聞かれますね。
セミワンタッチアイゼンは、冬靴専用ではありますが、ワンタッチアイゼンの弱点を克服したモデルとも呼べます。
この写真で私が履いているのが、ブラックダイヤモンドのセミワンタッチアイゼンなのですが
写真のように、長く刺さりやすい前爪をぶっ刺して、急な斜面をガンガン登っています。
固いソールと固いアイゼンの組み合わせは、本当に雪面に刺さりやすいです。
より斜度の急な登山、半分岩と氷が組み合わさったようなバリエーションルートで活躍するようなアイゼンです。
イメージとしては、これくらいの登山をする場合に、セミワンタッチアイゼンが活躍するでしょう。
・セミワンタッチアイゼンとワンタッチアイゼンはコバのある冬靴専門
・ワンタッチは外れやすいので、登山にはセミワンタッチの方が適する
・ワンタッチは、より固い装着が可能で、アイスクライミングに向いている
ブラックダイヤモンドの12本爪セミワンタッチアイゼンになります。
実は私も愛用する、セミワンタッチの定番モデルになります。
サイズは23~29㎝のワンサイズになります。
グリベルのG12は、爪が長く雪室を選ばず優れた支持性を持ちます。
サイズはワンサイズです。
上のG12が一足520gに対し、470gの50gの軽量化をされたモデルです。軽さの代わりに、G12と比較すると爪が短いため、雪面の支持性はG12に劣ります。
グリベルのアイゼンは、基本が強固はクロモリ鋼となりますが
エアーテックライトと呼ばれる、超軽量のアルミニウムモデルも存在するので、購入には気を付けてください。
アルミニウムは強度に劣り、場所を選ぶため、慣れた方が購入するモデルだと感じます。
結局オススメは?
はい
ここまでで、軽アイゼン~ワンタッチアイゼンまでの説明が一通り済みました。
結局のところ、オススメは10本以上のベルト固定式のアイゼンになります。
その理由は、一番汎用性が高いからです。
もし、私のように、冬靴を後に購入した後であっても、夏靴にも使えるベルト式のアイゼンは
結局一番使う頻度が高いからです。
バリエーションルートや、斜度の急な山に挑戦することはあっても、低山やアルプスのハイキング登山をやめるわけではありません。
買い足しても使い続けられるため、ベルト固定式のアイゼンが結局オススメというわけですね!
私は低山しか行きません!
という方も、いずれは八ヶ岳に挑戦したくなるかもしれませんからね!
10本アイゼンがあれば、こんな景色だって見ることができますよ!
しっかりとした装備を揃えて、安全な登山を楽しんでください!
読んでくれてありがとう!