【体のどこかが寒いはず】登山におけるテント泊の寒さ対策について考察

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テント泊をしてみて、意外と寒くて眠りにくかった

こんな経験ないですか?
僕は初めてのテント泊がそうでした。あれは6月3日の八ヶ岳テント泊、青年小屋テント場での記憶でしたが、寒くて何度も起きた覚えがあります。

ここでは、テント泊で寒い思いをした理由について、テント外の要因とテント内の要因の2つに分けて考察してみます。
足元?底冷え?気候?どこかに要因があったはずです。

目次

テント外の要因

単純に気温が低い

海抜0m   =0℃
標高100m↑ =ー0.6℃
標高1000m↑=ー6℃
標高3000m↑=ー18℃

よくある話なので飛ばしても構いませんが、標高が100m上がるごとに、気温は0.6℃低下すると言われています。アルプスや八ヶ岳などは、テント場が2000以上の場所にあるのがほとんどです。海抜0mと比較して12℃も低下します。下界が熱帯夜と呼ばれる25℃だったとしても、2000mの場所では13℃になっています。これは10月の平均気温と同等です。8月だったとしても、気持ちは10月程度で考えておく必要があるということですね。

放射冷却による寒暖差

放射冷却とは、日中に温まった空気が、夜の間に冷える現象をいいます。この時、空に雲が無い場合は、日中の熱を閉じ込めておく層(雲)が無いため、より冷えやすくなるのは有名な話ですね。

実は、登山のテント泊はほとんどが放射冷却のシチュエーションになります。
なぜなら、テント泊は天気の良い日を選びませんか?

つまり、逆を言えば夜の気温が低い時にテント泊をしようとしているということです。

山岳テント場で作ったイグルー(かまくら)の写真

テント内の要因

単純に寝袋のスペックが低い

安いキャンプ用の寝袋を使う人はいないと思います。しかし、高い寝袋だからといって、過信していませんか?
寝袋の温度表記はほとんどが嘘・無理がある。と疑ってかかった方が良いです。

実際に嘘な訳はありません。寝袋の温度表記はEUROPEAN NORM【ヨーロピアン ノーム】といって、多くのメーカーが温度表記に関してEU諸国における統一規格を使用しているからです。なので、自社メーカーだけ大げさに温度を言えないというわけですね。

温度センサーが装備されたマネキンに長袖と足首までアンダーウエアを着せ、スリーピングバックに寝かせてキャンプ用のマットレスの上にのせます。マネキンの内側5箇所の温度が測定され、放熱の度合いを計測します。計測された温度と実験室の気温を計算式にあてはめて値を算出します。スリーピングバックの保温性能は単純な中綿の量だけでなく、布地の種類や厚み・ジッパー等にも影響を受けるため、テストではこれらを総合的に判断します。

ナンガ

ただ、寝袋選びをした方は分かると思いますが、寝袋の温度表記は3種類あるということです。それがこれ

ナンガ

コンフォート・リミット・エクストリームです。
ギクッとする方もいらっしゃるかと思いますが、価格を抑えたくて、リミットの温度で考えて、寝袋を選びませんでしたか?

コンフォート・リミット・エクストリームについては、このような説明をされています。

コンフォート

一般的な成人女性が寒さを感じることなく寝ることができる温度域とされています(快適使用温度)。

ナンガより

リミット

一般的な成人男性が寝袋の中で丸くなり、8時間寝られる温度域とされます(下限温度)。これよりも低い温度は、リスクのある温度域となります。

ナンガより

エクストリーム

一般的な女性がスリーピングバックの中でひざを抱えるくらい丸くなった状態で6時間までなら耐えられる温度域とされます。体は震えを起こすことで熱をつくりだそうとし、基礎代謝量が増えます。なお、この温度域で使用すると低体温症になる恐れがあり、非常に危険です。

ナンガより

リミットの、一般男性が膝を抱えて丸くなり、8時間寝ていられる温度域とありますが、寝袋で膝を抱えるとどうでしょう。寝袋はパツパツ、なんなら丸くなんてなれない。それどころか寝袋が伸び、パツパツになった部分はダウンがつぶれ、余計に寒いです(マジ)。まっすぐ寝ているのが一番暖かい、つまり無理なんです。

エクストリームに至っては、6時間までなら「耐えられる」と表現されます。震えも出るそうですし、低体温症の危険があるそうです。なので、寝袋としての使用を想定するのなら、エクストリームは論外。おそらく、ツェルトと一緒に持ち歩き、テント泊はしないけど、遭難対策をしていますよ。くらいのイメージです。

そして、肝心なコンフォート。これも、もう少し暖かく考えておくと良いです。快適温度域といいますが、快適温度の下限温度を示しています。なので、コンフォートが0℃だった場合、快適に眠れるのはおそらく0℃~10℃程度。0℃を中心とした、ー5~5℃程度ではないのです。0℃を下回った時点でそれは寒いのです。

このように、寝袋のについては余裕を持った温度域のものを使うことが望ましいです。

足元が寒い

大抵、多いのが足元が寒くて寝られない現象です。ダウンジャケットは忘れずに持っていかれることが多いですが、足元の防寒まで考えていないこともあります。
テントの大きさにもよりますが、寝袋の先はテントと触れていたりするので、外気と接しているような状況となり、より体温も奪われやすいです。テント泊で寒い思いをする多くが、この足元ではないでしょうか。テントシューズとよばれる、ダウンが入った靴下を使うことで大抵解消されます。また、ズボンについても、ダウンパンツを使うと良いでしょう。
テントシューズに関しては下の記事で紹介しています。

底冷えがある

もう一つ、家とは違う冷え方があります。それは、底冷えです。
登山におけるキャンプ場の多くが、草の生えていない地面です。
九州の山など、標高の低い山には草原のキャンプ地などもありますが、標高が2000mを超えてくると、何も生えていないかクマ笹が生えているくらいです。水分を含んだ地面がむき出しで、テントとぴったりと密着していることで熱伝導は非常に良い状態になります。
何もなければ背中が冷えて夏も眠れません。

そこで必要なのがキャンプマットなのですが、これにもR値と呼ばれる、使用が想定される温度域があります。一般的に多く使われる銀マットですが、R値は2と夏を想定されています。これも、感じ方は様々なので、想定される温度域でも寒さを感じる方は多いようです。もしかしたら、マットのR値を見直してみても良いかもしれません。
底冷えについてはマット選びのポイント テント泊の底冷えについて詳しく解説にて考察されています。

自分の場合

冒頭で紹介した6月3日の八ヶ岳について、状況を伝えようかと思います。寝袋のスペックはモンベルのダウンシュラフ♯3(快適温度4度)と、銀マットでした。その日は星がきれいに見える日で、雲海も起きるほどに放射冷却があったようです。キャンプ地である青年小屋の野営地は、湿った地面だったのを覚えています。
6月なのに、なんと朝には霜が降りていました。霜が降りるのは3℃以下らしいので、寝袋のスペックは足りません。銀マットも心もとなかったのでしょう。靴下なんて、家から持ってきた毛糸のやつでした。
今思えば、もう少し防寒をしていくものと思います。

裏技

簡単に解決する方法もあります。寝袋の中にカイロを2個ほど放り込んでおくと良いです。足元にあると効果抜群で、お金をかけずに速攻解決できます。
冬場にもばっちり使えるマグマカイロがおすすめです。
なお、底冷えに関しては解消できません。

まとめ

登山での野営は、「気温の低い山に、放射冷却の強い日を選んで、底冷えのする環境に寝に行く」という行為になります。
これでは寒いはずですね。眠りにくかったという方は、寝袋が薄いか、マットの断熱が弱いか、足が寒いかのどれかにあたったのだと思います。

大抵が少し多めのスペックを揃えた方が、快適なテント泊が可能です。

このブログでは、他にも冬山・雪山に関する考察や登山記録を掲載しているので、良かったら覗いていってください。

読んでくれてありがとう!

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