結局、頭痛は治まらず、夜中にシェルパのRohanに助けを求めた。

一人で寝ようとするが、頭痛と気持ちの悪さで、心配でどうにもならない。
明日は先へ行けない悲しさ、行きたくもない苦しさ、早く帰りたい、安全に帰れればなんでも良い。
ぐるぐると考え、どんどん消極的になる。
体調が悪かったら呼んでね、と言われていたので、頼って薬をもらった。
まさか、ちゃんとダイアモックスを服用する事になるとは。
薬を飲む時点で、先へ進むことは諦めた。
このままルクラへ戻り、暇なカトマンズを過ごすことになると悟っていた。
もう1人、一緒に歩いたシェルパも体調を気にしてくれ、優しさをありがたく思った。
とにかく、この日は寝られれば、なんでも良かった。
薬が効いたのか、安心感もあったのか、その後はすんなりと眠れた。
夜中もシェルパは気にし続けてくれた。
後で聞いたが、彼の方がその後、体調が気になり眠れなかったという笑
優しい人だ。
さて、朝になり行程を聞くと、楽な裏道から、行程の後半部分に戻れるという。
早朝出で、通っていない道から引き返す。
朝の冷え込んだエベレスト街道の静かな感じと、鼻に刺さる冷たい空気が心地良い。

EBCとカラパタールはパスするので、大メインは行けないけど、もう良いのだ。
ここに来れたことで満足している。
クラシックルートで見た、ネパールの村落にも、満足している。
あとは、なるべく心地よい感覚を、土産にしたい。
31歳にもなり、割り切ることが上手になったのか。
そもそも、3パス全てを歩き切ることが目標でもなかったからか。
安全と心地よい方向を、簡単に決められるくらいには、落ち着いた判断が出来ている。


このコースもなかなか良いでは無いか。
カラパタールからの、バッチリエベレストの朝焼けが見れなくとも、EBCの賑やかさを感じられなくとも、思ったよりも悔いは無い。
人生の重要な方向が、旅や山ではないと理解し始めたこの頃。
気持ちはほとんど家に帰っていて、それを充実させるための旅でもあるんだと、帰りを楽しみにしつつ、景色もそこそこ楽しみつつ、な感じで。
言い聞かせ、こじつけようとせずとも、心から納得できていた。
昔はカッコ良さから憧れていた、アイスクライミング的な登坂なんかも、興味は無くなった。


外から見ていて、あんなところ登るんかなぁ、と、遠い気持ちになるだけだ。
僕はこっちの平坦な道を、アレコレ考えながら歩く方が好きさ。
戻るとはいえ、思ったよりもコースの重複区間は少なく、普通に楽しめる。




個人的に静かで気に入っていた、Pangbocheの宿に着いた。
この日も11時前に着いたので、静かな食堂で、momoを食べた。

モチモチの中に、家庭的なツナポテトが入っていて、家庭的な薄味トマトソースとよく合う。
久しぶりにWiFiをが通ったので、奥さんや家族に連絡。
あとはひたすら、日記とKindle。
この、昼からじっくり、好きなことに向き合えるこの時間、この生活がかなり好き。
無理して先へ進まなくて良かったと思う思えた。

