ウィーン…ウィーン、
自動ドアの開閉で目が覚めた。
耳栓を買おう、顔を拭いたウェットティッシュを丸めただけでは、防音効果が薄い。
だがどうだろう!
4:30まで完全なる熟睡だ!
さすがベッドです(だから違う)、寝心地が違うもんだ。
ソファをきちんと戻して、出発としましょう!
…嫌だ、、、
外はザーザー降りの暗闇だ。
だが今日は、北海道で出会った旅人の「ながくん」が四国で待っている日だ。
早く行かなきゃ。
雨は降り止まない。
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ
乗りません!
なんとたなりょうは、空が明るくなるまで二度寝をかましたのである。
旅で最も過酷な日
せっかく5時に起きたのに、せっかくテントも張ってないのに。
結局スタートは6:30を過ぎていた。
雨は降り止まないが、外は明るい。
気持ちはなんとか出来上がった。
防水対策をしっかりして、いざ雨の中へ!
しっかしいきなりマトモな雨だ、直ぐにビシャビシャだぁ!
こんな時はやっぱりGoProが役に立つ。
朝も早く、こんな山道だ、ほとんど車が通らないのは幸い。
雨の日の自転車は、全くもって不愉快。
トンネルがこんなに有難いと思ったのは、初めてか。
恐らく今日が、旅中最も過酷な日になるだろう。
復活の兆し
過酷かと思ったが、案外慣れてくるもんだ。
ゴアテックスも濡れてしまえば蒸れてくる、そんな不快感ももはや雨に比べたらどうでも良い。
過酷な状況に身を晒すと、意外と人はおおらかになるのかもしれない。
あまりの雨にフィーバーしたのか、道路にはカニちゃんが大量発生。
おい、道の真ん中にいたら危ないぞ。
うお、こっちにも!
危ないってww
踏んじゃうって!
威嚇するなってw
助けてやるからw
次々現れるカニちゃんを、次々道脇に放り投げる。
しかしキリがねぇ、10匹以上放り投げたところで終了。
だって100くらいいたんだもん!笑
悠長にしているようだがペースは早い。
なんせ覚悟を決めている分、足は進む。
そんな時、ふと振り返ると空がちょっと明るくなっている!
兆しか!
こんな時、だいたい空は晴れてくるもんだ。
ようやく使えたNikonちゃんで、景色を撮影。
秋の渓流も綺麗だ。
やっぱり旅はこうでなくっちゃ!
I amクレイジー!
兆しかと思った天気はフェイク。
さっきよりも酷い雨に襲われる笑
今日の僕は1ミリもストレスがない、覚悟をした人間は、黄金の魂を宿している。
滅茶苦茶な雨の中、段々と狂い始めるテンション。
「僕はっ!」
「今っ!」
「変なテンションだっ!」
「I amクレイジーテンション!!」
「イッツアクレイジージャーニー!!」
1人で叫んでも、静かな森とやかましい雨が消してくれる。
どうも楽しくなっていた笑
しかし朝ごはんを食べていない。
グラノーラはミルクかヨーグルトがないと沢山食べられないし、チョコでは腹が満たされない。
実は街まで50km、糖質だけで凌いでいた。
街まで降りると本物の青空が。
勝ち確なので、とりあえずすき家に入店し、モーニングセットを注文。
今日も結局すき家である。
こじろう倶楽部
すき家を出ると、残り25kmほど。
ここからさらに、2度のヒルクライムである。
と言っても、100-200ほどの小さな峠。
今日の黄金魂に傷一つつかない。
峠が残り二つと分かっていれば、ひとつも動じないのだ!
HAHAHA!
午前とは打って変わってギラギラした太陽、クソ暑い蒸し風呂状態にも動じない!
2つの峠を気持ちの良いダンシングで登りきる。
どう考えても、この先に臼杵(フェリーの街)があるだろうと分かるトンネルに、勝ちを確信。
降りた先で腹が減り、「こごろう倶楽部」という店に入店。
おばあちゃんが店番をする、のんびりした店だ。
頼んだのは「とり天」
大分に来たら食わねばなるまい!
写真では伝わりづらいが、1個1個が丁寧に作られている。
とり天はふんわりサクサク、酸味の聞いた大分らしいタレも、とっても好み。
うまいっ!!!
煉獄杏寿郎のように、飯を3杯食べさせてもらった。
出てくる時には、おばちゃんがとり天サンドをひとつくれた。
とっても優しいおばちゃんに、美味しいご飯。
居心地も良い店だったので、また来たいなぁ。
ありがとう!!
バイバイ九州!!
フェリー乗り場に到着、予定よりも1時間ほど早くつくことが出来た。
これでナガくんを待たせまくることは避けられた。
ところで余談だが、ゴアテックスの靴はそれほど役に立たないことが判明。
午前の雨で、靴の中は完全に死んでいた。
フェリー待ちの際、濡れたものを一式、この炎天下で少しでも乾かす。
足掻いてやるぜ。
しかし昨日今日とめちゃくちゃ頑張った。
雨ニモマケズ、風ニモマケズ、おまけに坂にも夜の寂しさにも負けなかった!
ここに来るまでの達成感の気持ちでフェリーに乗る。
そしてとりあえず充電&休ませてもらった。
いつも通り仮眠を15分に収め、甲板に出る。
「ああ、九州が遠ざかっているのだ」
急に寂しくなってきた。
思えば福岡で従兄弟達との時間を過ごし、天草では奇跡的な出会いの連続だった。
鹿児島では素敵な女将さんが一緒に飲んでくれ、リベンジの開聞岳も晴れていた。
なんだ、九州素敵なところだったじゃあないか。
思い出で感傷的になりすぎないよう、大きく手を振り叫んだ。
「九州バイバイ!!」
それは甲板の爆風でちょうどよくかき消された。
クレイジートラベラー
愛媛県の八幡浜について、まず行ったのはふろだ!
実に500kmぶりくらいの風呂である。
汚い、クサイ状態でさすがに会いたくないのだ笑
そう、これかは僕は会いたい人物に会う!
それは、稚内で出会った旅人の「ナガくん」だ。
実に2ヶ月ぶり、距離にして4000kmぶりくらいだろうか?笑
彼は今、愛媛のみかん農家でバイト生活をしている。
(たしか稚内ではコンブバイトをしていたはず…)
何者なのかはいまいち分からない笑
とにかく、会えたこと、街まで会いに来てくれたことがとても嬉しい。
農業バイトの経歴、これからの旅の目標を聞かせてくれた。
これから西表島のサトウキビバイトの後、ついに自転車でアメリカ横断をするのだそう。
そんなクレイジーな彼の応援を出来るのだ、とっても嬉しい。
これからも楽しみにしていよう。
閉店までしゃべり、彼は文明の利器で帰って行った笑
さて、今回の寝床は、フェリー乗り場すぐそこの道の駅だ。
風呂、飯、寝床が近くにあることは珍しい。
ありがたくもベンチを使わせてもらった。
走行距離85km
宮崎県▶大分▶愛媛(八幡浜)