2025年モンベルカタログが家にやってきたのでチェックしました。
どう考えてもレインウェアのラインナップ&素材の一新が目立ちまくったので、今回はそれを上手に上手にまとめます!

ストクルから一新しているので、ごちゃごちゃした脳内を整理しますよ!
ざっくしたまとめは下記↓
- ストクルの独自素材化
- ベーシックなゴアモデルとしてテンペストを追加
- 丈夫な廉価版ゴアにレイントレッカーを採用(同時にレインダンサーの廃盤)
- トレントフライヤーの独自素材化
- バーサライトの独自素材化
- 軽いゴアモデルとしてピークシェルジャケットを採用
- ピークシェルジャケットはバーサライトとして実質値下げ&スペック向上
まー、変わった印象ですが、ただ単に置き換わっただけのモデルもあれば、モンベルの努力や戦略が垣間見える考察も出来ました。
単に新旧比較するだけでなく、近しいモデルなんかも含めて考察しているので、結構面白い内容となっているかと思います!



モデルをじっくり整理したい方は、ぜひ見ていってください!
スーパードライテックの追加


追加というか、実はピークシェルジャケット(旧)などで既に採用されていたスーパードライテックですが、それを多くのモデルに採用した感じ。
スーパードライテックについて公式の文章を参考にすると、少なくとも耐水性は20,000mm以上、透湿性は20,000~60,000gはあるようです。



おおよそイメージはミレーのTYPHONシリーズですね。
ただしそれ以上の情報は公開されていないので、とりあえず個人的な感想とか予想を簡単にまとめてみますね。
たぶん疎水性多孔質PUメンブレン
多分ですが、スーパードライテックは疎水性多孔質PUメンブレンで良いでしょう。
有名どころで言えば、ミレーのTYPHONとかファイントラックのエバーブレス辺りがこれに該当しますが、スペック上も評判も良い、最近主流の素材です。


ナノファイバーという線もありますが、モンベルの紹介説明文と画像の雰囲気から察するに、多分疎水性多孔質PUな気はします。



まあ、予想ですね。
逆に2010年代では、スペック上では数値が出るけれど、実体験として透湿性が高いとは感じられない「親水性向孔質PU」が流行りだった気がします。
ワークマンのウェアとかは未だに多分これに該当しますね。
あとは廉価版のドライテックも多分これ。
いずれにせよ、売れ筋評判のストームクルーザーにすら採用してきたので、性能は信頼してよいかと思います。
ドライテックは格下げへ
一方、サンダーパスやレインハイカーなど、一部廉価版にはドライテックを採用しています。
いつからか知りませんが、僕がアウトドアを始めた当初から長く存在するモンベルの独自素材で、たぶん10年以上放置されていそうな素材。



さすがに性能としてはかなり旧型
これらはマーケティング的な要因だとか、一部の超ライト層向けに用意してあるだけだと思うので、ドライテックについては割愛します。
という事でここからは、一新したストームクルーザーを中心に新旧比較とします。
ストームクルーザー


登山用として、そこそこ軽くて、結構丈夫で、めっちゃ使いやすい。
登山ならとりまストクル選んでおけ、的なモデルが、スーパードライテックになりました。
新ストームクルーザー | 旧ストームクルーザー | |
---|---|---|
素材 | スーパードライテック | ゴアテックス(ePTFE) |
耐水性 | 20,000mm以上 | 50,000mm |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 35,000g/m² |
重さ | 254g | 254g |
価格 | 22,000円 | 26,400円 22,880円(アウトレット価格) |
実は旧ストームクルーザーよりも、耐水性はかなり落ちています。
20,000mmm以上とは書かれるので上限は不明ですが、さすがに50,000mmは無いと思われますね。
そしてモンベルの旧ストームクルーザーの紹介ページには、前は表示されていた50,000mmという耐水性が消えて、20,000mm以上と現在と同じ表記に変わっていました。



旧モデルとスペックは比較されたくないのでしょうね


以前スペックをまとめておいたおかげで、旧ストクルのスペックも残せていました。



情報が葬られてしまうところでしたね(笑)
透湿性の方は20,000~60,000g/m²という事で、こちらは旧モデルよりも高い可能性はあります。
むしろ透湿性は記事の薄さに依存する傾向があるので、ストクルくらいの軽量性なら、旧型より若干透湿性は高い可能性がありそうです。
価格に関しては22,000円なので、たしかに定価は安くはなりました。
ですが、アウトレット価格で22,880円なので、スペックをしっかり比べると、まだ旧ストクルを買いたいという人は多そうな印象ではありますね。



僕なら新素材を試してみたい派ですが、ゴア支持者は多い気がする。
メリットとしては、スーパードライテックは(おそらく)PU系なので、ゴア採用モデルよりもしなやかだと思います。
今度モンベルに行ったら触って確かめてきますね。
実質のところ、ストームクルーザーは若干のスペックダウンと言ったところが正しい印象なのかもしれません。
とはいえ売れ筋フラッグシップなので、ぞんざいに扱わない事は確かでしょうし、性能には期待してOKかと。
物価高&円安でゴアテックスの採用が難しくなってきたので、価格を上げずに利益も取れる独自素材という路線にした。
まあ、恐らくこんな所でしょう。
悪くない選択でしょうし、個人的にはそこまで批判的にも捉えていません。



旧ストクルか新ストクル、どっち選ぶかは皆さん次第です!


テンペスト


2024年カタログに存在しなかった、完全新作のテンペスト。
ストクルをスーパードライテックにしたので、一応ゴアテックスモデルを用意しておこう的な感じだと思います。



多分ですがストクルとテンペスト、どっちをゴアにするか?会議はされたんでしょうね(笑)
価格を見てわかる通り、アメリカのゴアテックスを採用するとどうしても高くなりますね。
粗利的にも売れ筋のストクルはゴアを採用しずらかったのでしょう。
テンペスト | 旧ストームクルーザー | |
---|---|---|
素材 | ゴアテックス(ePE) | ゴアテックス(ePTFE) |
耐水性 | 20,000mm以上 | 50,000mm |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 35,000g/m² |
重さ | 247g | 254g |
ベンチレーション | 搭載 | 非搭載 |
価格 | 35,200円 | 26,400円 22,880円(アウトレット価格) |
実質的に旧ストクルみたいな立ち位置なので、ストクルと並べてみました。
が、価格的にはほぼ完全劣化で、価格差13,200円は痛いです。
もちろん耐水性や透湿性は同等かそれ以上になっているとは思いますし、ベンチレーションなどでコストはかかります。
ゴアの素材も、環境負荷のかかるePTFE(フッ素化合物系)から、フッ素0のePEに勿論変えてきています。



ePE採用は2024年パタゴニアから、多分増えてきますね。
でもやっぱり、旧ストクルとの価格差が気になります。
ベンチレーションに関しても旧ストクルには必要無かったレベルなので、テンペストで採用したのは他意が含まれそうな気もします。
- 差別化を図るため?
- スーパードライテックの透湿性を強調するため?
いずれにせよゴアテックス+ベンチレーションジッパーは、動きやすさ的にはネガティブポイントです。
型落ち価格のストクル支持者はまだまだおりそうな予感ですね。


レイントレッカー


毎回新作発表のたびに、ウロウロと立ち位置が安定しないのがレイントレッカー。
前回ゴアインフィニアムを搭載したことで、スペック的にもコスパ的にも利便性的にも大出世したのですが、結局また変な所に戻ってきました。


しかも今回は、レインダンサーという旧モデルを乗っ取り消滅させるという仕事も担いました。



まじで立ち位置が安定しないww
ってことで、旧レイントレッカー、旧旧レイントレッカーと並べてみます。
新レイントレッカー | 旧レイントレッカー | 旧旧レイントレッカー | |
---|---|---|---|
素材 | ゴアテックス | ゴアインフィニアム (後にウィンドストッパー) | ドライテック |
耐水性 | 20,000mm以上 | 30,000mm | 20,000mm |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 43,000g/m² | 20,000g/m² |
レイヤー | 3レイヤー | 2レイヤー | 3レイヤー |
重さ | 301g | 188g | 255g |
価格 | 29,200円 | 15,900円 (アウトレット14,960円) | 1万ちょい |
こうみると、旧レイントレッカーはかなり異質ですね。
2021年~2024年は、モンベルでも唯一ゴアインフィニアムを採用した時期でして、個人的に幻のゴアインフィニアムモデル。
性能的にはおそらくスーパードライテックと同等なので、旧レイントレッカーはスペックで言うと新ストクルと同等くらい。
ただし2レイヤーなので、裏地が無い分着回し感は悪いです。



旧レイントレッカーは僕のお気に入りでしたね。
使いやすかった。


しかしめっちゃ軽いし、めっちゃ安いし、スペック高いし、すごかった。


旧旧レイントレッカーはドライテックの廉価モデルだったので、今残っているモデルで言うとサンダーパスですね。
むしろサンダーパスとレイントレッカーが謎に共存していたので、どう考えてもどっちかが必要無かったのでしょう。



ゆえにレイントレッカーが出世(インフィニアムという挑戦に関与)した、と。
じゃあ、新しいレイントレッカーはゴアテックスだから良いんじゃない?
って感じですが、これも何とも言えない感じ。
新レイントレッカー | 旧レインダンサー | |
---|---|---|
素材 | ゴアテックス | ゴアテックス |
耐水性 | 20,000mm以上 | 50,000mm |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 25,000g/m² |
レイヤー | 3レイヤー | 3レイヤー |
デニール | 50D | 50D |
重さ | 301g | 335g |
価格 | 29,200円 | 22,550円 |
新レイントレッカーに該当するのは、どう見ても旧レインダンサーでしょう。
生地が分厚いので300gを超えてきて、登山というより藪漕ぎ系のハードな山行とかに向いています。
ただし、分厚い分耐水性は高く、新レイントレッカーもおそらく50,000mm以上もしくは同程度の耐水性はあるあず。



価格的にも、強度的にも、酷使できますね。
これにて当然ながら、どちらかは廃盤。
優先されたのはウロウロと安定しない、レイントレッカーの方というなんという皮肉。
そしてゴアテックスを採用している故、ぱっと見ストームクルーザーよりレイントレッカーの方が良いヤツに見えてしまうという。
ストクルにするかテンペストにするか、スーパードライテックとゴアテックスをめぐる議論が白熱したことは、外から考察していても容易ですよね。
レイントレッカーの動向を見るだけでも、そんな事が見えてきます。
トレントフライヤー


前作まで、ゴア採用2.5レイヤーという変わったモデルだったトレントフライヤー。
さらりとした着心地ながらに、ストクルよりも軽い。
高かったですが、結構ファンも多かったはず。
それが今作より、スーパードライテックに統合、ストクルとの違いは「薄さ、軽さ」というシンプル構造に。
新ストームクルーザー | 新トレイントフライヤー | 旧トレントフライヤー | |
---|---|---|---|
素材 | スーパードライテック | スーパードライテック | ゴアテックス |
耐水性 | 20,000mm以上 | 20,000mm以上 | 50,000mm |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 20,000~60,000g/m² | 44,000g/m² |
レイヤー | 3レイヤー | 3レイヤー | 2.5レイヤー |
デニール | 30D | 15D | 12D |
重さ | 254g | 186g | 194g |
価格 | 22,000円 | 23,200円 | 25,080円 |
ストクルが30Dですが、半分の15Dという薄さに。
旧トレントフライヤーの軽いというメリットは、そのまま受け継がれていますね。
物価上昇に少しでも抗うためにも、トレントフライヤーのスーパードライテック化はもはや当然だったと言えるでしょう。
裏地に微粒子を吹き付ける、2.5レイヤーという革新的な素材は、旧トレントフライヤーでおしまい。


とにかく新しいトレントフライヤーは、ストクルよりちょっと高くて、薄くて軽い生地。
登山に慣れて、より軽量化を目指す玄人さんにおすすめ。
バーサライト


とにかく軽い、薄いをモットーに存在するバーサライトですが、今回も攻めています。
新ストームクルーザー | 新トレイントフライヤー | 新バーサライト | 旧バーサライト | |
---|---|---|---|---|
素材 | スーパードライテック | スーパードライテック | スーパードライテック | ゴアインフィニアム (後ウィンドストッパー) |
耐水性 | 20,000mm以上 | 20,000mm以上 | 20,000mm以上 | 30,000mm |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 20,000~60,000g/m² | 20,000~60,000g/m² | 43,000g/m² |
レイヤー | 3レイヤー | 3レイヤー | 3レイヤー | 2レイヤー |
デニール | 30D | 15D | 7D | 10D |
重さ | 254g | 186g | 143g | 134g |
価格 | 22,000円 | 23,200円 | 24,000円 | 18,700円 |
トレントフライヤーよりもさらに半分以下の7Dという、超絶攻め攻め極薄生地。
雨が降っても濡れませんが、レインウェアで温まれるかと言われるとそこまでは期待できない。
とにかく超玄人向け、酷使すると破れます。



ULハイカーやトレランの人向けでしょうね。
旧バーサライトはインフィニアム(ウィンドストッパー)だったので、こちらも必然のドライテック化。
2レイヤーから3レイヤーになった分、着心地は恐らく良くなったことでしょう。
ピークシェルジャケット


トレントフライヤーがゴア卒業しちゃったから、軽いゴアが無くなっちゃったよ、とほほ、、、
みたいな人用に恐らく用意されたのが、新ピークシェルジャケット。
新トレントフライヤー | 新ピークシェルジャケット | 旧トレントフライヤー | |
---|---|---|---|
素材 | スーパードライテック | ゴアテックス(ePE) | ゴアテックス(ePTFE) |
耐水性 | 20,000mm以上 | 20,000mm以上 | 50,000㎜ |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 20,000~60,000g/m² | 44,000g/m² |
レイヤー | 3レイヤー | 3レイヤー | 2.5レイヤー |
デニール | 15D | 15D | 12D |
重さ | 186g | 185g | 194g |
価格 | 23,200円 | 32,000円 | 25,080円 |
新トレントフライヤーの純粋なゴアテックスバージョンと言って差し支えないですね。
その分9,000円高いです。
旧トレントフライヤーと比較すると、デニール的にも価格的にも頑張っている気はしますね。



ゴアモデルの最適解として、結構人気が出そうです。
新ピークシェルジャケット | 旧ピークシェルジャケット | |
---|---|---|
素材 | ゴアテックス(ePE) | スーパードライテック |
耐水性 | 20,000mm以上 | 20,000mm以上 |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 20,000~60,000g/m² |
レイヤー | 3レイヤー | 3レイヤー |
デニール | 15D | 7D |
重さ | 185g | 168g |
価格 | 32,000円 | 24,200円 |
ちなみに旧型の正式名は「スーパードライテックピークシェルジャケット」でして、初めてスーパードライテックを採用したモデル。



なんやねんww
トレントフライヤーをスーパードライテックにするために、元々スーパードライテックだったピークシェルジャケットを、ゴアテックスに当てがった
なんともややこしいです。
旧ピークシェルジャケット | 新バーサライト | |
---|---|---|
素材 | スーパードライテック | スーパードライテック |
耐水性 | 20,000mm以上 | 20,000mm以上 |
透湿性 | 20,000~60,000g/m² | 20,000~60,000g/m² |
レイヤー | 3レイヤー | 3レイヤー |
デニール | 7D | 7D |
重さ | 168g | 143g |
価格 | 24,200円 | 24,000円 |
そして面白いのが、新バーサライトがそのまま旧ピークシェルジャケットを踏襲していることが判明。
しかもちょっとだけ安くなって、結構軽くなった。



モンベルやるやん!
ここで回答が出ましたね。
モンベルはただ単にごまかしのためにスーパードライテックを投入したのではなく、ちゃんと本気で価格と折り合いをつけている!
むしろしれっと良心的まである!!
まとめ
めっちゃややこしくなりましたね。
ざっくりと箇条書きでまとめます。
- ストクルの独自素材化
- ベーシックなゴアモデルとしてテンペストを追加
- 丈夫な廉価版ゴアにレイントレッカーを採用(同時にレインダンサーの廃盤)
- トレントフライヤーの独自素材化
- バーサライトの独自素材化
- 軽いゴアモデルとしてピークシェルジャケットを採用
- ピークシェルジャケットはバーサライトとして実質値下げ&スペック向上
なかなか興味深い内容となっていますね。
いずれにせよ我らのモンベルは、今まで通りなる安価格を貫いてくれているようですし、何ならストクルは今までより選びやすくなった感はあります。
型落ちも含めてやっぱりモンベルは安くて強くて選びやすいので、これまで通り我らの味方として居てくれるようで安心ですね!
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