2020年にR値が新規格となって以来、大手は新R値を引っさげて、自社製品をアピールするようになりました。
そしてついに低価格メーカーからも高R値の製品が出たり、さらに上のR値を!といった具合に、昨今のマットのR値環境はどんどん良くなっている印象ですね。
凄く選びやすくなったよね!
今回は厳冬期用のマットに限定し、5種類の主要メーカーから、R値5以上のマットを厳選しました。
R値とは
R値は断熱性能を示す指標です。
現在は統一された規格により測定がなされ、それぞれのマットのR値(断熱性能)が求められるようになりました。
測定値はキャンプ用マットレスの断熱性能の評価に使用できるため、製品の構造や設計に役立ち、消費者がマットレスを比較して選択する際の指針となります。
ASTM
2020年に、このASTM F3340-18という規格に統一されたR値は、より信頼される数値として僕らも認識していますね。
ちなみにアメリカで定められた国際基準だそう。
メーカー間で統一された数値を目安に出来るとあって、とても分かりやすい数字になりました。
こちらはヨーロッパ規格ですが、寝袋のEN13537と似たようなもので、国際的なメーカーのほとんどがR値を採用することで、その信頼性とスペックをアピールしているように思えます。
ちなみに日本ではこのR値採用の流れが遅い気がしまして、例えばイスカなんかは採用していません。
イスカは寝袋でもEN13537を採用していませんので、あくまで独自の適応基準を使っていますね。
イスカの考えはいつも「日本基準」です。
モンベルは採用していますね。
足し算可能
これは有名な話ですが、R値は足し算可能です。
例えばクローズドセルのZライトソルがR値2.0ですが、2枚使ってしまえば4.0です。
テントに100均の銀マットを敷いたりすれば、多少R値が上がるというのもありそうですね。
R値は純粋に足し算可能
厳冬期は6以上が推奨
厳冬期における目安はR値6などと言われていますね。
コレに関しては僕も同感で、現R値2.0のZライトソルで雪山泊をしたときは寒かったですが、R値6超えのマットを使用したときは全く気になりませんでした。
むしろかなり暖かいと感じました。
とはいえあくまで断熱性
マットのR値は断熱性を示します。
寝袋が弱ければ確実に寒いですし、ちゃんとご飯が食べられて代謝も高ければ、ある程度低くても体温で相殺します。
玄人の男性なんかは雪山テント泊でも、R値2.0のマットで寝ます。
逆に山に行くとご飯を沢山食べにくく、代謝も低い女性なんかは体温が低くなりがちでしょう。
R値6よりさらに断熱できた方が、自分から発する大切な熱源を失わずに済むかも。
快眠に対する保険のかけ方、おサイフ事情なんかで考えると良いかもしれませんね。
R値の高いマット
ブランド | マット | R値 |
---|---|---|
サーマレスト | ネオエアーXサーモNXT | 7.3 |
NEMO | TENSOR オールシーズン | 5.4 |
NEMO | TENSOR エクストリーム | 8.5 |
EXPED | Ultra 7R | 7.1 |
SEA TO SUMMIT | イーサーライトXT | 6.2 |
Naturehike | R5.8マット | 5.8 |
厳冬期用のマットとして、R値5以上のマットをこれらのメーカーから探してきました。
基本的にR値が高いのは「エアマット」タイプであり、おそらくマットの厚みがそうさせるのでしょう。
空気は非常に断熱性が高いですからね
なお、EXPEDにはDuraシリーズもありますが、あちらは単体1㎏に近い重量になりましたので、今回は割愛しています。
これらR値5以上のマットならば、個人的には国内程度の厳冬期テン泊はおおむね可能と考えます!
今回は分かりやすく、以下のまとめをしてみます。
- 安い順にマットを紹介
- コスパ指数を計測
厳冬期用のマットでしかもエアマットです。
穴が開いたら終わりなので、クローズドセルよりも圧倒的にコスパが悪いです。
それに雪山でしか使わないという、限定的な使い道ゆえに、高い買い物だと思う気持ちが痛い程分かりますので(笑)
ですので今回は勝手に、「コスパ指数」というのを作ってみました。
R値が上がれば指数も上がりますし、逆に価格が下がれば指数も上がります。
要するに、お金を払った分得られるR値みたいなものだと思ってください。
思いのほか差が出ました。
では、参りましょう!
【R値5以上】安い順にマットを並べる
ブランド | マット | R値 | 価格(円) | コスパ指数 | 重量 |
---|---|---|---|---|---|
Naturehike | R5.8マット | 5.8 | 15,990 | 3.63 | 490g |
モンベル | エクセロフト エアパッド 180 | 5.0 | 17,600 | 2.84 | 658g |
NEMO | TENSOR オールシーズン | 5.4 | 29,150 | 1.85 | 400g |
SEA TO SUMMIT | イーサーライトXT | 6.2 | 33,660 | 1.85 | 720g |
NEMO | TENSOR エクストリーム | 8.5 | 35,200 | 2.41 | 472g |
EXPED | Ultra 7R | 7.1 | 36,630 | 1.94 | 650g |
サーマレスト | ネオエアーXサーモNXT | 7.3 | 44,000 | 1.65 | 439g |
これはただ単に安い順に並べただけです。
確認してみると、やっぱりNaturehikeのマットが安いですね。次点で安いNEMOのTENSORオールシーズンのほぼ半額というお手頃価格。
R値5.8もあれば正直十分とも言えますので、Naturehikeを敬遠するかどうか、この一言にかかっていそうです。
Naturehike
R値 | 5.8 |
価格 | 15,990 |
指数 | 3.63 |
重さ | 490g |
厚み | 7㎝ |
デニール | 200Dナイロン |
2022-23シーズンに突如現れた、中華性厳冬期用エアマット。
一万五千円という低価格ながらに、まさかのASTM F3340-18規格を引っさげての登場には衝撃を受けました。
それもR値5.8という、バチクソ調子のよい値なので、ライトユーザーの興味の視線はほとんどここに向いたことでしょう。
どうあがいても、残念ながらこの子が一番安いです。
空気入れの方式も、近年流行りの逆流防止タイプに加え、ポンプサック付属のバラエティセット。
200Dナイロンというのはにわかに謎すぎる厚みですので、耐久性に関しては未知数。
まだまだ登場して日が浅いので、実施的な耐久報告を待ちたいところ。
サーマレストを買っていなければ、人柱を兼ねて多分僕はこれを買っていた。
モンベル エクセロフト エアパッド 180
R値 | 5.0 |
価格 | 17,600 |
指数 | 2.84 |
重さ | 658g |
厚み | 7cm |
デニール | 30D |
中にモンベルの独自素材中綿の入ったマット。
ウレタン系ではないので、おそらく寝心地は通常のエアマットに近いでしょうが、断熱フィルムではない分空気の移動が少なく寝やすいというのがモンベル的な打ち出し。
ですが気になるのはやはり重量で、価格は安いけどやっぱり比較すると重さが気になります。
R値÷重量の指数があったら低いでしょう。
NEMO TENSOR オールシーズン
R値 | 5.4 |
価格 | 29,150 |
指数 | 1.85 |
重さ | 400g |
厚み | 9cm |
デニール | 20D/40D |
価格・重さ・R値的にかなり丁度良さそうなのがこのNEMO TENSORオールシーズン。
Naturehikeが安すぎてどうしても霞ますが、基本的にNEMOは性能に対しての価格は良心的。
2024年にNEWモデルとなったTENSORは、大きくR値を向上させましたね。
エアマットの弱点だった「カサカサ音」は今作で大きく改善されたとのことで、エアマット入門としては非常にバランスの良い型になりました。
ミドルスペックではあるものの、今作でR値を大きく伸ばしてきたゆえに、オールシーズンでも日本国内の厳冬期であれば十分なスペックに。
SEA TO SUMMIT イーサーライトXT
R値 | 6.2 |
価格 | 33,660 |
指数 | 1.85 |
重さ | 720g |
厚み | 10cm |
デニール | (-) |
価格は安いというわけではなく、R値も相対的に見劣りする数値になってしまったイーサーライトXTです。
厚みが10cmというのが差別化ポイントながら、NEMOのマットと比べると720gという重量がどうしても気になります。
ウリだった寝心地に関しましても、NEMOのTENSORシリーズも改善しにかかりましたので、相対的に優位性が無くなりました。
しばらく更新していませんので、おそらく近々テコ入れが入るものと予想しています。
NEMO TENSOR エクストリーム
R値 | 8.5 |
価格 | 35,200 |
指数 | 2.41 |
重さ | 472g |
厚み | 9cm |
デニール | 20D/40D |
2023年までR値で大きく見劣りしていたNEMOのエアマットでしたが、2024年になり大きくR値を向上。
もはやインフレ、R値の暴力ともいえる8.5を引っさげ、まさかのR値トップに君臨。
その割に、この物価高と円安の中、価格を平均的な水準に留め、むしろ性能比較すると安い部類にまで入ります。
以前の20Dからボトム素材を40Dに強化し、R値も爆上げ、なのにこの低価格と500g未満に収めた事に対しては、NEMOと大きく握手を交わしたいと感じました。
R値指数でみると非常にコスパが良くなりますね。
重量的な指数も高そうです。
EXPAD Ultra 7R
R値 | 7.1 |
価格 | 36,630 |
指数 | 1.94 |
重さ | 650g |
厚み | 9cm |
デニール | 20D |
ダウンが入ったエアマットとして、一度は一世を風靡。
そして名前とラインナップを更新し、同時にマイナーチェンジによるスペックアップを2022-2023シーズンに行っていますね。
その時点でトップのR値を誇る、軽量エアマット初のR値7.0超えを果たしました。
ですが早々に王者サーマレストにR最高値を更新され、重量でも劣る可哀そうな状況に。
それでもダウンを使用したマットシステムは斬新であり、断熱フィルムではないことから、シャカシャカ音は少ないのでは? と、予想されます。
見た目とロゴは好みなので、どうにも頑張って欲しいところ。
サーマレスト ネオエアーXサーモNXT
R値 | 7.3 |
価格 | 44,000 |
指数 | 1.65 |
重さ | 439g |
厚み | 7.6cm |
デニール | 70D |
こちらも2022-23シーズンにスペックを更新した、王者ネオエアーシリーズ。
でしたが、今年2024年にライバルNEMOが超絶パワーアップしたことで、いよいよサーマレストが見劣りするように。
というのもサーマレストは去年、スペック向上と同時に価格も上げています。
上昇率はNEMOと大差ないものの、サーマレストは元から高価なだけあって、Xサーモはいよいよ大台4万円超えに。
これには登山ブルジョワ層以外に手が付けられなくなり、泣く泣くNaturehikeに手を伸ばすユーザーが増えたことでしょう(妄想)。
僕が数年前に買ったR値6.3とかのXサーモは、3つ目の穴が開きましたので、そろそろ僕もNaturehikeユーザーになりそう。
流石にこの値段は頂けませんよね。
R値のコスパ順に並べてみる
ブランド | マット | R値 | 価格(円) | コスパ指数 | 重量 |
---|---|---|---|---|---|
Naturehike | R5.8マット | 5.8 | 15,990 | 3.63 | 490g |
モンベル | エクセロフト エアパッド 180 | 5.0 | 17,600 | 2.84 | 658g |
NEMO | TENSOR エクストリーム | 8.5 | 35,200 | 2.41 | 472g |
EXPED | Ultra 7R | 7.1 | 36,630 | 1.94 | 650g |
NEMO | TENSOR オールシーズン | 5.4 | 29,150 | 1.85 | 400g |
SEA TO SUMMIT | イーサーライトXT | 6.2 | 33,660 | 1.85 | 720g |
サーマレスト | ネオエアーXサーモNXT | 7.3 | 44,000 | 1.65 | 439g |
因みにコスパ指数順に並べるとこんな感じ。
やっぱりNaturehikeの圧倒的コスパが凄いですね。
NEMOのハイクラスもかなり健闘しています。
モンベルは指数が良いのですが、やっぱり重さが気になります。
ちなみにこのNaturehikeのエアマット、使って3回で穴が開いたとの話も聞きました。
ですが日本公式サイトもいくらか前に立ち上がっていますので、対応も丁寧。
どうやら相談したところ、新品をタダで貰ったそうです。
現場で破れるリスクを背負う必要はありそうですが
まあ、僕のサーマレストも穴が開いたので、現場のリスクはいずれ背負う事になりますね。