ざざー
…
ざざー
…
今日の目覚めは波の音。
なかなか爽やかな目覚めだった。
初の青天野宿は成功だったよう。
しかし、車が集まってきており、僕のことを「誰だコイツ?」とみてくる。
どうやらここは、釣りスポットのようだった。
…怖がらせて申し訳ない(笑)
野営地点はこんな感じだった。
ケチになってしかたがねぇ
昨日はキャンプ場がチェックイン時間を超えていたことで、400円のコインランドリーは使えなかったのだ。
まずはコインランドリー探しだ。
山形県酒田市に入り、適当なコインランドリーを見つけた。
ここは400円+乾燥200円で、600円の出費のはずだった。
順当に服を入れる。
来ている服も入れちゃえ!笑
半裸で待機。
…
動かない。
エラーが出ている。
管理人への電話を掛けるが、中々出ず。
ちょっとイライラしてきた。
数分後、電話に出た店主が来てくれた。
そしてお詫びにと、なんと料金800円を返してくれた。(というかくれた)
後から来た奥様は、何も知らずにニコニコ。
半裸の僕を気にせず喋ってくれる。
…こんないい人たちに、さっきはイライラしてたのかと思うと、反省した。
だが、計算もしている。
昨日のキャンプ場に間に合っていたとすると、800円+400円。
今回は野営0円+200円(乾燥機が200円で済んだ)。
1400円の差額を得しているじゃあないか。
反省する反面、ちょっと得した気分になってしまった。
減りゆく貯金残高で旅をすると、ケチになってしかたがねぇ。
団体行動??
コインランドリーを出て程なく、タイヤが重い。
…まただ
合計4度目のパンクである。
多分頻度は多い方ではなかろうか?
「もぅ!あんたもパンク好きねぇ!」
とかおちゃらけてイライラを紛らわす。
さっきから猛スピードで過ぎていく集団がいる。
どうも、ロードバイクのイベントがあるようだ。
ゼッケンを掲げた集団が、僕を追い抜いていく。
負けてられるかと、荷物を積んだ自転車で追いかける。
「こちとらタイヤを修理したばかりで元気じゃぁ!」
コンビニで休んでいると、二人のおにーさんに声をかけられた。
紛れて頑張っているところを見られていたようで、イベントで貰えるアイスやら、パンク修理キットやらを頂きました。
頑張っている若者を見ると、構いたくなるのだとか。
ありがとう、おにいさん!
僕も40歳を過ぎたら、多分そんなおにーさんになっている気がします。
腐っだキノゴみでぇだ
集団に紛れることで、速度も上がるたなりょう。
しかしそれも長くは続かず、水族館に吸い込まれたのだ。
ここは、鶴岡市立加茂水族館。
クラゲがメインの水族館である。
アートなクラゲ
可愛いクラゲ
綺麗なクラゲ
ぽわぽわ漂うクラゲを見ていると、時間が過ぎてしまいます。
すると、後から訛り声が聞こえてきます。
「綺麗だね~」
ウンウン
「お姫様みたいねぇ~」
ウンウン
…
「腐っだキノゴみでぇだぁ」
wwww
その表現に、なんともワロてしまった。
山やってる人みんな変態
水族館を出ると、併走チャリダー達ともお別れ。
ボクは新潟を目指さなければならない。
南下する途中、またもや道の駅に吸い込まれた。
今日はなかなか距離が稼げないぞ。
ここで夕飯用の米に水をやっていると、2人のお姉さまに声をかけられた。
「登山、されるんですか?」
僕のモンベルTシャツを見てピンと来たんだそう、さすがは山ヤである。
よく見るとおねえさん方は「月山Tシャツ」を着ていた。
僕の目は節穴だ、二人から香る登山の匂いをかぎ分けられずにいた。
それにしても、月山いいなぁ。
僕は9月末に月山に行く予定だ。
2人は僕に、たこ焼きとコロッケを2つずつ奢ってくれた。
閉店間近で、安くなっていたのだ。
皆で分け合うはずのたこ焼き、それを僕は独り占めしている。
それも2パック。
4本つけられた爪楊枝を見て思う、もったいねぇと。
仕方がないので4本使って、器用にたこ焼きを食べた。
それにしても、久しぶりにここまで味の濃いいものを食べた。
ジャンキーで濃い食べ物は、運動後の食道に染みる。
ありがとうおねえさん!
彼女らはこれから地元愛知まで帰宅する。
山をやっている人の行動範囲は変態的だと、つくづく思いながら見送った。
きっと、イケメンよりハンサムより「槍ヶ岳」や「剱岳」を見て興奮するんだろう。
皆、変態だ。
神様の水
たこ焼きとコロッケが調子いい。
そりゃあそうだ、イモと粉モンだ。
腹持ちの良い炭水化物のオンパレード。
そして、ご近所さんの山好きに会えたテンションが、足を速くさせた。
だがここは笹川流れ、この速足を景色が邪魔する。
変わった道、輝く海と釣り人。
魅力的な景色についつい足を取られる。
シルエットだけでも絵になる風景に、雲の造形まで添えてくる。
これでは足が進まない。
こんなところに住んでいる人は、さぞゆったりとしているのだろう。
本通りを外れて、民家方向を走ってみた。
海沿いの町っていうのは、どうも風情がある。
橋を渡らず、こんな景色の中を走れるのも自転車の魅力。
ところで、ここでひとつしょうもない小話を。
こんなのどかな港町、そこには山から水が流れていた。
飲みたいなぁ、なんて見ていると
「それは神様の水だ、うめぇぞ」
と、一人目のオヤジが。
なるほど確かに、小さい祠が一つある。
僕はふたつ、拍手をして、水を頂いた。
…冷たくておいしい。
持っていた水を、すべて神様の水に交換する。
「だめだ!だめだ!!」
!?
二人目のオヤジが、家から叫んでいる。
「そんなもん飲んだら腹ぁ、壊すぞ!」
「こっちの水を飲め!!」
そう言って、家の前にある蛇口を指さす。
…うん、塩素の味がしっかりと。
水道水だ。
うしろでは、オヤジ1とオヤジ2が言い争いを始めてしまった。
「お兄ちゃん!、これ!」
今度は、家から奥様3が声をかけてきた。
僕に、「つぶつぶカボスドリンク」をくれたのだ。
つぶつぶカボスドリンクは、汗をかくほど冷たくて、さわやかなつぶつぶカボスが弾けて、少量だがとてもおいしい。
僕は、おなかを壊すかもしれない「神様の水」よりも、「水道水」よりも、つぶつぶカボスドリンクが好きだ。
こうして、神様の水vs水道水論争は、奥様の介入にて幕を閉じた。
…
ところでこれは翌日の話。
僕はとある水を飲んでいた。
「神様の水」だ。
水をすべて、神様の水に変えてしまっていたからだ。
おなかを壊さないよう、今一度山形県、東北方面を見て、深々とお辞儀をしておいた。
小話を最後までありがとう。
絵にかいたような夕焼け
夕日の時間帯になる。
やはりこの時間にここに来てよかった。
実は笹川流れと夕刻の時間をわざと当ててきた。
岩の造形、釣り人やカヤックの人影。
夕日というのは、シルエットだけで写真を表現するのに長けている。
笹川流れ、なんと素晴らしい通りだろう。
ここを通るなら、ぜひ夕方の時間に来てほしい。
日が沈んでからは2時間、20㎞を進んだ所でテントを張りました。
おやすみなさい!
2022.9.11
走行距離:約130km