【3000m級】雪山登山の服装 コツをつかんだので紹介します!

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登山には慣れました。だけど雪山登山なんて未知の領域…、服装も何がいいか分からない…、だけど挑戦したいですよね!

僕は年間の数十日は山にいると思いますが、冬山ももちろん頻繁に通います。
むしろ冬山のほうが好きなんじゃないか?と思うくらいですね(笑)

何日も冬山に通い、服装についてはかなりコツを掴んだと思うので、基本的かつ科学的なところを理解しつつ、僕個人的な意見も交えつつ、解説していこうかと思います!

詳しく知りたい方だけ残ってください!

こってり考察しているので、しっかりと読んで頂くことになりそうです!
最後には出費を抑える案も頑張ってひねり出しました!

目次

夏山の服装を基本として考えてみる

雪山登山、とはいえ登山は登山。レイヤリングを基本に考えることが大切になります。

うわー、レイヤリングか―・・・

と、何度も聞いた言葉に若干拒絶反応を示す方も、少なからずいらっしゃるかと。
夏は汗をかくのでドライレイヤーを着ますよね?そして肌寒い時はソフトシェルや長袖を着ますよね?雨が降ったり風が強い時はレインコートを着ますよね?
はい!これでレイヤリングの完成です!つまりは、これを暖かいものに変えると冬山のレイヤリングが完成します。なんだか分かる気がしてきませんか?

といっても、雪山の服装は中々奥が深いです。

上記のレイヤリングを基本にまずは考えていただいて、ここからは冬の気候の特徴をとらえた考察ができるよう、頑張って解説していきます!!

冬山(2000m以上)の気候の特徴

・気温が低い(0℃~―20℃)
・夏より風が強い(特に北アルプス)
・日中&無風の中歩くとむしろ暑い!
・急な悪天候(ブリザード)に対応したい

気温が低い

100m標高が上がると0.6℃気温が下がる。

有名な計算であり、単純計算すると下界で0℃の場合、2000m級で―12℃、3000m級で―18℃となります。下界で0℃を下回る、夜中や朝方の気温は、2400mのテント場でも実際に―18℃になっていたこともあります。

雪の中で凍り付く温度計
2月の行者小屋 この日はー16℃

当たり前のことですが、3シーズンよりも保温性の高い服装を選びます。

夏より風が強い

冬型の気圧配置

こんな言葉をニュースの天気予報で聞いたこと、ありませんか?

西の気圧が高くて、東の気圧が低いという、冬特有の気候なのですが、気圧差が大きいほど風は強くなるという特性があります。冬はこの、西高東低の気圧配置になりやすく、風が強い日が多いのです。それに比べて夏は、太平洋高気圧と呼ばれるように、日本列島がただの高気圧に覆われることで、稜線すらほぼ無風状態になることもあります。

左が8月代表の太平洋高気圧で、日本列島にほとんど線がかかっていませんね。
右が2月代表の冬型の気圧配置です。北海道から九州まで、縦の線でシマシマしています。

と、まあ気圧の話はマニアックなのでこれくらいにしておいて…(笑)
冬の山が過酷な理由は、気温だけでなく、風の影響も大きいのですね。

日中&無風の中歩くとむしろ暑い!

高気圧・無風・晴天の3連コンボ

風の影響が大きい事が良く分かる事例があります。それは、日の当たる斜面で、風が当たらない場所を歩いている時です。それが残雪期であればなおさら、2月の厳冬期でも、2000m越えの森林限界を、日中はインナーのみ&素手で歩いている事もあります。そこまでの暖冬も珍しいですが、ただ暖かいウェアを着ているだけだと暑すぎて、酷い目に合います。

急な悪天候に対応したい

冬山って遭難が怖い…

おそらく冬山を挑戦するにあたって、多くの方が二の足を踏む大きな理由だと思います。ブリザード、ホワイトアウトといった、遭難のリスクが存在し、また助からない可能性だって高いです。これに関しては、「備えあれば患いなし」←とは言い切れませんが、レイヤリングとはまた別で考えるということが大きなヒントになります。後述しますが、レイヤリングと別に、緊急用の防寒着・シート・カイロなどの所持が有効です。

冬山の服装

いかに汗冷えを防ぐか

まずはこの一点のみ抑えてください。

気候のポイントを思い出して下さい。「日中は暑い」ということと、2つは「気温が低い」のと、「風が強い」ことでしたね。つまり、汗をかくシチュエーションと、汗が冷えるシチュエーションがあります。冬場にお風呂から上がったすぐって、早くタオルで拭かないと寒くありませんか?体感で何となく理解はできるかと思いますが、体が濡れていると、乾いているのより圧倒的に寒いのです。空気と比較して、水というのは何倍も熱伝導率が良いためです。汗が冬の外気温と風で冷やされるということは、一気に熱を奪われてしまう原因です。休憩中にすごく寒い思いをしてしまいますね。

ですので、これから紹介するレイヤリングについてですが、いかに汗冷えを防ぐかを意識して考察してみます。

冬山の服装(レイヤリング)

インナーは常に着ています。標高の低い箇所ではミドルレイヤーを着て歩きます。さらに、気温の低い早朝や、風の強い稜線を歩く際に、アウターを着て歩きます。

樹林帯でも、休憩中など寒くなりそうなときにアウターを着て、稜線でも天気が良ければアウターは脱ぐなど、状況に合わせて脱ぎ着します。

面倒くさいですが、脱ぎ着無しにして快適な山歩きはない断言して良いでしょう。

ドライレイヤー・インナー・ミドルレイヤー・アウター

インナー

汗を吸収する部分なので最も重要

僕は最初、スポーツ用品店の「極暖」とか書いてあるインナーで挑みました。結果「極暖」は「激暑」の間違いだと理解しました。懲りずにワークマンの安インナー「暖」程度で挑みましたが、結果は「激暑」だと理解しました。

つまり、暖かさだけを求めてはいけない。という結論を得ることができました。
インナーはウールか化繊の2択で選びます綿はNGですね。
実は、「極暖」などと謳われるヒートテックだって「化繊」です。ウールも綿配合の商品もあるので、要注意です。

インナーは基本、脱ぐことができないので安物を買って失敗したストレスは、登山中付きまといます(笑)
一番お金をかけても数千円ですので、アウターの値段を考えると、お金をかけるべきはインナーです。

ウール

汗を吸収することで、保温のみでなく発熱する。そのため、汗冷えをしないというより、高い保温性と発熱性を利用して暖かさを保ち続けるという感じです。実は僕は「極暖」→「暖」→「メリノウール」と偏移しましたが、僕は汗かきですので、ウールは暑すぎました(失敗)。知り合いの女性は寒がりですので、「ウールしか勝たん」と言っています。速乾性に関してウールは化繊に劣ります。

モンベルより

化繊インナー

モンベルのジオラインを筆頭に、各メーカーからドライインナーがラインナップされています。基本的、山岳メーカーのインナーは、「防臭性」「速乾性」に優れます。僕は、メリノウールの後にモンベルのジオライン(中厚手)と偏移し、ジオラインに落ち着いています。速乾性はウール以上ですが、保温性はウールに劣ります。

モンベルより

ウールと化繊ウェア(ジオライン)の比較について、さらに知りたい方は見ていってください。

アンダーウェア

インナーのさらに下のインナーになります。インナー単体では、汗を吸っては放散を繰り返すわけですが、さらに下にインナーがあることで、汗を吸い上げて次のインナーに渡す→渡されたインナーが放散という役割分担ができます。そうすれば、一番下のインナーは、常に乾いた状態を維持できるので、汗冷えをさらに抑えるどころか、ある程度は汗をかいても快適でいられます。

ミレー公式サイトより

有名なのが、ミレーのドライナミックやファイントラックのドライレイヤーですね。

ミドルレイヤー

主に保温を担当する

ミレーのインサレーション
中綿素材の入ったミドルレイヤー(インサレーション)


種類が多く最も迷走する部分でもあります。主に保温を担当するので気温(時期や標高)に合わせた選択をするのが良いです。厚みや素材によって保温性が異なるのですが、通気性(透湿性)も重要です。インナーによる汗を吸収・放散する、水蒸気を逃がす機能を邪魔してはいけないわけです。

ミドルレイヤーは、古くからの定番をフリースとされており、最近ではニュー定番のインサレーションが使われます。その他、ソフトシェルやロングシャツなど、様々な種類があり、どれも通気性と保温性のバランスを考えられて作られています。

アウター

耐風性と防水性

いわゆるハードシェルと言われるシャカシャカジャケットですね。ブリザードに合っても耐えられる、耐風性防水性を持ちます。ミドルレイヤーの保温性を耐風性のあるシェルで閉じ込めることで、相性の良いコンボとなり、保温性が期待できます。かといって、インナー→ミドルレイヤー→と、逃がされてきた湿気を、ここで台無しにしてはいけないので、透湿性が高いことも重要です。

アウターについては、一つの結論が自分の中で確立されました。それは、透湿性の高いハードシェルを選ぶことです。ハードシェルが無ければ、風抜けが良いので汗も自然と乾きます。ハードシェルを着ることで、透湿性があるといえど、やはりじわじわと汗をかいていきます。

雪で遊ぶ登山者
透湿性が快適ではしゃぐ奴

透湿性50000mmというオバケ透湿性を持つ、ミレーのティフォン50000を購入したところ、快適性は段違いに改善されました。先ほど、「脱ぎ着無しにして快適な山歩きはできない」と格好つけて言い放ったのはいいですが、透湿性を改善させたことで、脱ぎ着の回数は半減してしまいました。

緊急用の防寒着を持っておく

ここからはレイヤリングの考えから、少し脱線します。ですが非常に重要な部分です。
夏でもありますが、冬は特に「万が一」を想定します。万が一とは、「千が一」くらいの確立はありそうですが、たいてい、天候の悪化・怪我・シャリバテ(腹が減って動けなくなる事)です。保温性を考えたレイヤリングといえど、稜線は風が強く、激寒です。山頂で景色を堪能する時間を確保するためにも、保温性の高いダウンジャケットは、一つは持っていきましょう。使わなくったっていいのです。夏のテント泊に使っているものでも、冬の街用に使っているダウンジャケットでも良いので、一枚持っていることで、安心感も持っていくことができます。レイヤリングから外れるので、汗抜けなどは気にしないでも大丈夫です。軽量性と保温性が抜群に高いダウンが一番望ましいです。

その他としては、靴のままだと遭難による凍傷が考えられるので、テントシューズを持って行ったり、緊急用としてツェルトやエマージェンシーシートを持っていくことも重要です。

僕はいつも、冬の山頂にはダウンジャケット・エマージェンシーシート(場合によってはテント)・テントシューズを持っていきますが、ほとんど使わず帰ってきます。

持っていくだけで、良いのです!!

コスパの良い選び方はないの?

結局いい製品を使えって事かい!

そんな風に言われてしまっても、返す言葉がございません…
ですが、出費を抑える方法や、コスパの良い物を選ぶ方法を考えてみました。どれも自分が実際に活用したりもしています。

まず、インナーは良い物を買ってください。4種類目にしてようやくいい物に出会えた僕のようになってしまいます(笑)。僕は安物買いの銭失いが良く似合います。

ミドルレイヤーについてですが、種類が多い故、中古品が良く出回ります。登山メーカーのフリースであれば安価でそこそこの性能は保証されています。実際僕は、使い分けこそしますが、1万円のコロンビアの福袋に入っていた、おまけのようなフリースを使うこともあります。

アウターですが、正直なところ、防水性はそこそこで十分です。レインコートは雨なので、高い防水性が必要ですが、雪はさらさらと落ちていくので、防水性は10000㎜もあれば十分です。ゴアテックスは高い防水性がありますが、その分値段が高いです。メーカー独自の○○テック的なものを選ぶか、それともワークマンの数千円のハードシェルでも防水性は十分です。その代わり、透湿性が低く(10000㎜程度が多い)、脱いだり着たりはこまめに必要となるとは思います。

その他の装備

ゴーグル・アイゼン・ピッケル・冬靴・グローブなどありますが、別の記事でまとめますので、そちらをご参照下さい!

雪山行こうぜ!!

まずはよくここまで付き合って頂けました!
あなた様の雪山に対する本気度がうかがえたようです!

冬だって12月~4月、1000m級~3000m級といった、寒さも様々ですので、買い足し買い足しになってしまってもいいのです。どこかの山できっと使えます!後は、自分の寒さの感じ方などで、微調整して頂くことで、きっと自分に合った服装はコーディネイトできるようになっているはずです。

冬山は不安も多く、出費も多いので敷居は高いですが、見られる景色は夏のそれとはまったくの異世界です。残雪期も素敵ですが、寒々とした厳冬期のフレッシュな景色は2月までの特権ですので、今年も冬が終わってしまったなんて、後悔の無いように楽しんでください!

読んでくれてありがとう!

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