朝、予約していたシェルパガイドから連絡が来た。
既にこの村に来ているとのこと。
朝ごはんを頂いた後、シェルパのRohanが到着した。
そうか、一人で歩けるのは、もう終わりなのか。
気持ちの整理をつける時間が無い。
今日は急ぎの行程では無いので、彼にゆっくりするよう告げ、自室でノートと向き合った。
今現在、自分はかなりネガティブな気持ちで居る。
だが、ネパールがガイド必須と言うならば、仕方がない。
それに僕は15万円スられた事で、どのみち現金が不足している。
つまり、振込で全てを予約してくれる、ガイドツアーの形で無ければ、そもそもエベレスト街道を歩けてすらいない。
ここまでは、ひとまず自分を納得させるために解釈した。
いよいよ自分のネガティブさと向き合い、感情に対し、脱フュージョンを行った。
感情と行動を切り離す、と言うやつだ。
このまま不貞腐れたまま歩いたところで、シェルパにとっても、自分にとってもいいことはひとつも無い。
僕は今、「自分一人の気楽な旅が終わってしまう」と、ネガティブな感情に支配されている。
そう認識するだけで、気持ちは軽くなる。
そこからはポジティブ再解釈。
スられた挙句、ちょうど当日~シェルパ必須となった、とんでもない不運なはずの状況下で、ネガティブな気持ちを乗り越えられたら?
この状況に意味を見いだせたら?
それは自分にとって、大きな自信になるかもしれない。
今までの自分であれば、このまま不貞腐れていただろう。
だが今ならば、この状況すらも糧にできる。
再現可能な心理学スキルを学んでいたおかげで、ネガティブな事象に意味を持たせられた。
そのうえで行動変容として、Rohanシェルパに全てを打ち明け、仲間として快く受け入れた。
我ながら、中々のスキルを身につけたものだ。
、、、さて。
本日は雨予報だったが、結局そこそこ良い天気に恵まれた。
まずは林道的トラバースを進む。
こき使われているロバ達は、何を思うでもなく、感情を失ったような顔をしている。

もともと草食動物は、何を考えているか読めないが、どことなく不憫に思う。
足元も悪い中、よろめいているロバも居る。
足でも折れたら、捨ておかれるか、食われるかのどちらかだろう。

人間というのは残酷だなあと思いつつ、その残酷さの上に成り立っている世界に、自分は生きている。
まア、そこまで深く考えるのは止めたが。
幸い、シェルパは適度な距離感で、心地の良いペースを保ってくれる。

時折程よく話をしては、程よく歩く。
あとはもう、景色を見るために必要な代償として、機械的に考えることが出来そうだ。
Surkeを超えてからというもの、更に世俗化が進んだ、エベレスト街道。


現地民の生活は一応見えるものの、自分自身の「慣れ」と、ハイカー向けにこしらえられた店が並び、道としては面白みに欠ける段階に入った。
文化を見ながらの歩きとして、楽しいフェーズは終わった。

あとはもう、エベレストの景色を見れれば良いということか。
機械的に行けそうだ。
体調不良にならないことを、祈ろう。
宿のある村に到着したところで、雨が強くなる。
タイミングが良かった。

昼飯に迷った挙句、食べたかったアップルパイを注文。
今まで食べた、どのアップルパイより甘い。

ジャリジャリの砂糖が、中にぎっしりつまり、震えが出るほど甘い。
これを消化するのに、何分Hiitをし無ければならないだろうか。
日本では絶対に食べないであろう、不健康すぎる一品。
旅とはいえ、タガを外した注文に、少々後悔した。
もうこれを頼むのはやめよう。
部屋は寒く、ダウンを着込んでギリ何とかなるくらい。
ここで2600mだから、4000mアップが確かに心配だ。

