【最近のテント事情】MSRとNEMOの加水分解について考える

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OSMOファブリック、エクストリームシールド、シルナイロン…

各ブランドは最近、フライ素材を改良しまくっています。

謎だった、新しいテントの加水分解の存在。
これをようやく、調べつくすことができました!

たなりょう

どうも!
アバウトドアです!

加水分解するのかなぁ?
MSRとかNEMOは大丈夫?

私の持っているテントは大丈夫かな?

なんて心配している方も、少なくないはず。

この記事では、少なくとも現在のテントが大丈夫かどうかはわかるかと思います!

過去にも似たような記事は書いていますが、一番詳しい記事になりました。

覚悟してご覧ください(笑)

目次

加水分解についてめちゃくちゃ簡潔に

これはコーティングがボロボロになりつつある画像。

出典:MSR

これはシームテープが良い感じに劣化。
ほぼ剥がれていますね。

こんな風にコーティングがボロボロになるのは、紫外線や水分の影響。

これこそ長年テント業界を悩ませてきた現象。
主にポリウレタンコーティング(以下PUコーティング)に発生します。

そしてその加水分解代表ブランド。
不名誉な称号を得たのが、MSRNEMOでしょう。

だがそれも昔の話。
2023年、現在はどうなっている??

加水分解代表2ブランドはどうなった?

結論から申しますと、加水分解は克服しているようです。

朗報ですね!
カッコいいけど手が出しにくかった人には、非常にありがたい変化。

具体的に何が変わったのか?
MSRとNEMOのフライ素材を見てみましょう。

MERとNEMOのテント素材
  • MSR:エクストリームシールド&シルナイロン
  • NEMO:OSMOファブリック
  • NEMO:シルナイロン&PeUコーティング

エクストリームシールド?
シルナイロン?
OSMOファブリック?
PeUコーティング??

なんのこっちゃ!!w

シルナイロンくらいは聞いたことがあるかもしれませんね!

訳分からんくなった方も大丈夫です!

エクストリームシールドだとか、OSMOファブリックが何でできているか、どんなコーティングか?
一個ずつ紐解いていきます。

ここからは、各素材について深堀り。

MSR、NEMOユーザーの方も!
購入を検討している方にも!

詳しく!詳しく!
分かりやすく!!

解説をしていこうかと思います!

ではまず、最近一般化してきた「シルナイロン」から!

参ります。

シルナイロンについて(両面・片面)

そろそろ知っている方も増えてきたと思われる、「シルナイロン」。

詳しくは以下の記事で解説していますが、ここではちゃちゃっと解説します!

シルナイロンとは、おおむねシリコンコーティングされたフライシートのこと。

以下のように、テント生地にシリコンを染み込ませることで、耐水性などを再現します。

シルナイロンの解説図

従来のPUコーティングと比較した、シルナイロンの特徴を挙げましょう。

シルナイロンの利点
  • 加水分解に強い(3倍くらい)
  • 紫外線に強い(耐加水分解)
  • 引き裂き強度がある
  • 耐水性が高い

一番のメリットとしては、やはり加水分解への強さでしょう。

このシルナイロンという画期的素材は、現在多くのブランドが採用しています。

特に国外・ガレージブランド等は、シルナイロンを好んでいる印象ですね。

中国のテントにおいても、上位のモデルにのみシルナイロンが使われます。

「シルナイロン」
「両面シルナイロン」
「Sil/Sil」

などと表記されることが多いです。

でも、ちょっと待って?

MSRもNEMOも完全な
シルナイロンじゃないよね?

そう!

MSRはエクストリームシールド&シルナイロン
NEMOはシルナイロン&PeUコーティング。

いわゆるこの素材は、「片面シルナイロン」というものだったのです。

片面シルナイロン

シル部分(左上)とPU部分(右下)で雰囲気が違う

上の写真は、NEMOのフライ素材。
左上のサラサラ面が表側、右下のテラテラ面が裏面になります。

サラサラはシルナイロンで、テラテラはPeUコーティング。

つまり、表と裏で違うコーティングをしているわけ!

片面シルナイロンの解説図

また解説画像を勝手に作ってしまいました。
(イメージですよ!)

片面がシルナイロンなので、耐水性・引き裂き耐性については高い性能を誇るでしょう。

ではなぜ?
片面がPU皮膜なのか?

すみません!
メーカーにお問い合わせをしましたが
回答が得られませんでした!

うむ。
情報収集というのは難しい。

企業秘密もあるだろうから、仕方がないですね。

写真はルナーソロ

耐水性にも耐摩耗性にも優れていて、加水分解はほぼしないシルナイロン。
両面で何がダメなんでしょう?

これは一個の仮説。
縫製コストを下げているのでは?
と、考えます。

事実として、ツルツル滑るシルナイロンは、縫製難易度向上によりコストがかかるらしいです。

もしかしたら、片面に抑えることで、縫製コストに関しては抑えられるのかもしれませんね。

あとはよく分かりません(笑)

裏表で異なるコーティングを施すことで、両方の恩恵を受けられるのかも?

これ以上はホント分かりません(笑)

片側をPUコーティングにすることで、より強い耐水性だとか強度だとか、はたまた軽量にできるとか…

何かあるんでしょうね。

では仮に、片面シルナイロンは機能に優れるとして、こんな疑問が出そうですね!

片面がPUコーティングだと、結局加水分解するんじゃないの?

僕もそこが疑問だったので、調べまくりました!

まずはMSRから。
ここから核心に入っていきますよ!!

【MSR】エクストリームシールド

片面シルナイロンの裏側。
つまりは、PUコーティングの方になります。

進化したMSRのPUコーティングは
Xtreme Shieldと呼ばれます。

エクストリームシールド

あきらめることは、私たちのDNAには正確にはありません。

MSR

どこかで聞いたような言葉を放つMSR。

どうやらMSRは、テントのコーティングの枠を超えて、とあるコーティング技術から着想を得たそうです。

残念ながら、「とあるコーティング」は伏せられていましたが、エクストリームシールドの完成に至ったそう。

他ジャンルから得たアイデアらしいですね。

そんなエクストリームシールドの特徴は以下のよう。

エクストリームシールドの特徴
  • 分子レベルからPUと違う
  • 縫い方に工夫あり

【新・PUコーティング】分子レベルで違う

出典:MSR

どうや新しいPUコーティングは、分子レベルで今までと違うみたい。

Xtreme Shield のポリウレタンは、熱と湿気に耐えるように特別に配合された分子鎖を特徴としています。したがって、従来のテント ポリウレタン コーティングが経験する早期劣化に抵抗します。

MSR

もはやここまでくると、科学者ではない僕たちには分かりません(笑)

もしかしたら、NEMOのPeUコーティング※と同じかもしれません。
(※後述します)

事実として言えることは、MSRは根本から加水分解を克服しにかかった事。

悪いたとえをすれば「遺伝子組み換え食品」のイメージを僕は受けました(笑)

遺伝子違うから平気!

遺伝子組み換えによって除草剤耐性が付いた植物は、除草剤でも枯れませんね。

分子が違うから平気!

分子をどうにかこうにかしたコーティングは、加水分解に耐性があるようです。

逆に分かりにくいか?

【脱シームテープ】縫い目を工夫した

コーティングの部分は分かりました。
じゃあ、シームテープはどうしているのか?

実はエクストリームシールドは、シームテープ不要のようです。

ヒントは「縫い方」と「縫い糸」にありました。

出典:MSR

まず、伏せ縫いと呼ばれる縫い方で、綺麗に縫います。

使う糸は、「ポリエステルとコットン」。
つまりTC糸。

TC糸は濡れることで膨張し、穴を塞ぐ。

仕組みはとっても簡単ですね(笑)

  1. 細い針で伏せ縫いをします。
  2. 使う糸はTCライン(ポリコットン)。
  3. TCは水を含みやすいのですが…
  4. 水を含んだ糸が、小さな穴を塞ぐ。

TCテントの防水性と同じ原理ですね!

出典:MSR

それでも防水機能はそこそこ止まり。
糸の部分はどうしても湿ってしまうでしょう。

完全防水がしたければ、シームシーリング処理を行うことが推奨されています。

それでもおそらく、多くの人がこう思っていることでしょう。

ボロボロになったシームテープより全然いいよ!!

そんな重要なことに、MSRも気が付いたことでしょうね!

【NEMO】OSMOファブリックとPeUコーティング

出典:NEMO

MSRはシルナイロン&エクストリームシールドという、両者ともに加水分解に強いコーティングということが分かりました。

次はNEMOの順番です。
NEMOの上位モデルテントの素材は以下の通り。

Sil/Sil(タニ)

Sil/Silは両面シルナイロンなので、割愛。

OSMOファブリック(オズモ系)
※2023より、タニはオズモにグレードアップ

Sil/PeU(ホーネット)

なにやら新しい素材…

OSMOファブリックと、PeUについて調べていきましょう!

OSMOファブリック

出典:NEMO

最近NEMOは、フライ素材をどんどんOSMOファブリックにモデルチェンジしています。

↓OSMOファブリックは何でできているか?

OSMO 生地は、低デニールのナイロン糸とポリエステル糸の独自の複合織りで作られています。

NEMO

ナイロンとポリエステルの複合生地ということが分かりますね。
(※引用は英文翻訳)

↓では複合にする利点は?

疎水性、低吸水性、および低ウェットストレッチは、ポリエステル糸によって提供されます。ナイロン糸により、引張強度と引き裂き抵抗が提供されます。

NEMO

水に強いポリエステル。
強度に優れるナイロン。

2種類の繊維のいいとこどり
そんな意味があるらしいです。

実際に購入してみましたが、濡れてもパリッと、すこし独特なフライをしていました。

↓ではコーティングは?

生地の裏側にある独自のポリウレタンコーティング配合により、弾力性のある防水性が付与され、フッ素を含まない撥水剤および/またはシリコンの組み合わせが、生地の表面を水をはじく疎水性バリアで密閉します。  

NEMO

つまり、OSMOファブリックは片面シルナイロン

↓ついでに加水分解についての記述。

これらの方法を組み合わせることで、現在のテント コーティングの中でも優れた耐加水分解性を備えた独自のコーティングを特定して選択することができました (図 4)。 

長くなりましたので、重要な部分のみ太字にしておきました。

まとめます!!

OSMOファブリック まとめ
  • 生地はポリエステルとナイロン複合
  • 耐水性、強度に優れる
  • 片面シルナイロン製
  • 加水分解には強くなっている

名前を付けるとしたら
15D nyron/Pe fabric.Sil/PUcoating

めちゃ長くなりそうだったので「OSMOファブリック」と名付けたのかも。

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PeUコーティング

PeUは「ポリエーテルウレタン」のことを指します。

一般的にPUは、ポリエーテル系とエステル系に分かれるらしいです。

両者の違いを調べましたので、載せておきます。

エーテル系(PeU)エステル系
強度PUに劣る強い
摩耗性PUに劣る強い
加水分解無いする

エーテル系ウレタンゴムは、結合分子内に-O-を持っているので、H2O(水)には影響されない

だから加水分解しないんだとか。
難しいね。

多分O(水)原子が反応して、空気中の水分と結合して溶けちゃうのが加水分解の仕組みなんだと思います。

MSRのエクストリームシールドも分子レベルで違うらしいですが、もしかしてPeUなのかもしれませんね。

それにしても、PeUがあるなら最初からそれでいいのに…(笑)

なぜ、今まで加水分解をする素材を、多くの加工品(合皮等含めて)で使うのでしょうね。

何はともあれ、NEMOの片面シルナイロン(Sil/PeU)についても、加水分解に耐性がありました!

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まとめ!

MSRとNEMOのテントは、どちらも片面シルナイロンということが分かりました。

加水分解に強いシリコンコーティングと、おそらくどちらもPeUが使われていると考えられます。

これで、表面と裏面どちらも、加水分解に強い素材というわけですね!

テントの素材をおさらいしつつ、〆とさせて頂きます!

MSR ハバハバ
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MSR フロントレンジ
シルナイロン&エクストリームシールド

MSRのテントに関しては、【登山・キャンプ別】MSRのテント9種をカタログから比較考察!をご参照ください。

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NEMO ホーネットストーム
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ホーネットオズモ・エリートオズモ
ダガーオズモ
OSMOファブリック(シルナイロン+PU(←PeUかと思われ))

うむ!
どれもカッコいい!

今回の記事が、どなたかの参考になればと思います!

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