【20,000g以上は無い?】ご存じでしたか?レインウェアの透湿性の実態

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登山やアウトドアのレインウェア選び。

「透湿性10,000g以上が目安」「できれば20,000g以上が欲しい」
こんな言葉を聞きませんか?

実はあれ、全部間違っていました。

こんな経験はないでしょうか?

透湿性15,000gのものを買ったのに、思ったよりムレるなぁ…?

透湿性5,000gとか、そもそも着ているだけで濡れるくない?

それ、当然なんです。
なんせ、実験法からそもそも間違っているので。

これは別段ワークマンやモンベルに限ったことではなく、ゴアテックスも同様の状況でした。

たなりょう

どうも!たなりょうです!

ゆーすけ

ちょっと辛口な冒頭になってしまったこと、失礼します!

詳しく解説シリーズ。
今回は、「レインウェアの透湿性について」になります。

この記事を読んでいただければ、以下のことが分かります。

この記事を読んでわかること
  • 時代は透湿性>耐水性。なぜ透湿性に着目されつつあるのか?
  • 各ブランドの防水透湿素材スペック比較
  • 透湿性は高いほど良い、と言われるわけ
  • 「数値は過信できない?」透湿性の実験法による違い

かなり詳しい内容になりますが、なるべく分かりやすく、順を追って解説したいと思います。

あと、一言付け加えます。

たなりょう

透湿性の全て!
なんて、嘘やで!!(笑)

ゆーすけ

おいww

僕がここで述べる話は、あくまで一素人である僕が、ネットに出回る情報をまとめたにすぎません。

それも、ゴアテックスもノースフェイスも詳しいことはシークレット。

すべてを理解できるわけが無いのです。

それでもハイキングをちょっと行う程度の人より、素材に関して平均以上に詳しい自信はあります。

たなりょう

みなさんの参考に、少しでもなればと思っています!

ゆーすけ

そゆことね!
じゃあ、よろしく!!

目次

流行りは透湿性、時代は変化しています

モンベルのレイントレッカー

2023年現在、求められるのは防水性よりも透湿性が重視されています。

各ブランドが、透湿性をどんどん向上させてきていることをご存じでしたか?

ゴアテックスを始めとする防水透湿素材。

まずはその歴史を覗き、素材とニーズの変化について軽く紹介していこうかと思います。

【1976年】初のゴアテックスウェアが誕生

ゴアテックスの創始者は、デュポン社(タイベックの会社)を退社した「ボブ・ゴア」さん。

彼が手に持っているのは、PTEFというポリエステル。
現在でいう、テフロンだとはフッ素だと言われる素材のこと。

ゆーすけ

ゴアテックスの原料は、PTEFを伸ばしたePTEFという素材です!

たなりょう

これは難しい話なので、さらっと聞き流していいよ!(笑)

ゴアさんは、PTEFから防水透湿素材を作ろうと、四苦八苦しておりました。

出典:日本ゴア合同会社

かくかくしかじかPTEFという素材を加工することに成功。
ゴアテックスという素材が、1976年に誕生したというわけです。

説明は端折りましたので、ゴアテックスなどの防水透湿素材に関する詳しい話はこちらをよければ!

20世紀後半にかけ、ゴアテックス=防水透湿素材として定着してきました。

追うように、各ブランドは防水透湿素材を作り出した

ゴアテックスに負けてられん!

ということで、各ブランドが負うようにして、ゴアテックス似の防水透湿素材を作り出します。

ゆーすけ

ハイベント、ベルグテック、オムニテックなど、いろいろあるよね!

たなりょう

写真は「テトラテック」
これもゴアの二番煎じやで!

ゴア社の初製品は、1976年に誕生したと言いました。

テトラテックという素材は、ドナルドソンという日本にも支社を置く素材メーカー。

こちらは1998年に、初のテトラテックス製品を作り出しています。

ゆーすけ

22年も遅く販売しているんだね!

たなりょう

やっぱりゴアテックスは王者なんです。

今や各アウトドアブランドが、独自の防水透湿素材を使っています。

それでも未だ、防水性能はゴアテックスに勝てるものはありません。

さすが初の素材メーカー、常にトップに君臨し続けます。

だが透湿性は違った

2010年台、ゴアテックスの透湿性は13,500g/m2/24h(以下g)でした(モンベルのゴアレインを参考)。

2011年、マウンテンハードウェアがドライQを発売。
コイツがやり手で、透湿性30,000gという当時はトップクラスに君臨。

2017年、ミレーがぶっ壊れ性能を叩き出します。
その名もTYPHON(ティフォン)、50,000gというバケモノ規格。

耐水性では勝てないと思ったのか、各ブランドは透湿性をガンガン上げてきたのです。

そして2018年、ようやく王者が本気を出します。

ゴアテックスインフィニアム

通称白ゴア。
ゴアテックスインフィニアムを叩き出しました。

GORE‑TEX INFINIUM™ プロダクト テクノロジーは、防水性よりも快適性とパフォーマンスを重視する、よりドライなシーンに適しています。

GORE-TEX

最近ゴアも激押ししている印象の白ラベル。

ゴアも透湿性向上の流れを、放っておけないようですね。

ゆーすけ

なんで透湿性が上がってきたの?

たなりょう

ちょっと考察してみたで!

透湿性向上は、スタイルやニーズの変化が影響か?

透湿性向上の流れは明白。

ではなんで、防水性より透湿性が重視し始められたのでしょう?

あくまで周りの意見をまとめた結果や、個人的な見解でまとめてみます。

登山スタイルの変化

雷鳥平

昭和の時代、登山=危険なものという認識だったと思います。

山岳会というグループは、フェイスブックだとかインスタへの繋がりへ。
グループ登山はソロハイキングへ。

実際に、ソロ登山は危険という認識は、昔より低下しているという報告があります。

レインウェアについても
「雨から絶対命を守るもの」から「雨でもストレスなく動けるもの」へ変化していると考えても、不思議ではなさそうです。

安全性は向上している

YAMAPなどのGPSアプリの普及、天気予報の精度向上、山小屋等のインフラが充実。

登山が危険という認識が低下するのも、無理はありません。

こんなデータが見つかりました。

出典:気象庁

どうやら1990年と比較して、天気予報の的中率は10%ほど向上しているようです。

AIの改善により、9割近い的中率を叩き出しています。
もはや「雨の時は山に行かなければいい」

こんな風に考えるのが、自分を含めて自然ですね。

これらが、耐水性よりも透湿性(快適性)が重視される流れでもあるのかな?

と、僕は考えました。

透湿性の流行りまとめ
  • 各ブランドが、ゴアテックス似の製品を作り出した
  • 2010年台から、透湿性は向上しまくっている
  • その理由は、ユーザーの変化?

前置きはここまで!

たなりょう

次に、透湿性の目安について解説します!

透湿性の目安

まずは結論から申します。

メーカーが謳っている数値は、そもそもあてにならない。

ゆーすけ

そんな適当なー!w

たなりょう

って思うよね(笑)
大丈夫、ちゃんと伏線回収していくで!

ちゃんと訳があるので、これから詳しく掘り下げていきます。

【一般論】最低10,000g以上、できれば20,000g以上

まず一般論から。
激しいスポーツでは10,000gが最低限、できれば20,000g欲しいと言われますね。

この数値は、24時間で1平方メートルあたり何グラムの水(水蒸気)が出ていくか(g/m2/24h)、を表した数字です。

登山などの激しい運動では、1時間に1000gの発汗量だと言います。

たなりょう

1時間に1ℓ、実際考えると結構なものですね。

1時間に1000gだということは、g/m2/24hなので24時間で×算します。
つまり、24時間で24,000gの汗をかくという意味です。

ゆーすけ

1日登山し続けで24Lの水分か…

続いてg/m2/24hなので、レインウェアの面積で÷算します。

レインウェアの面積はほぼ2㎡ですので、12,000g/m2/24hということになりますね。

ここから、10,000gは最低限欲しいという結論が導き出される理屈は分かります。

それに加えて、劣化だとか撥水性の低下を考慮して、20,000gは見積もると良いと言われるわけにもなるんですね。

はっきり言います。

すべて間違いだと思っています。
(これも伏線回収していきます)

実は落とし穴があったのです。

たなりょう

10000g以上、20,000gあれば充分であるという一般論
それが間違いである理由を、2つ述べます。

透湿性一般論の落とし穴
  1. 湿度と濡れを考慮していない
  2. そもそも実験方法が間違っている

これらの理由により、透湿性は高いほど良いと僕は思っています。

①が弱い方の理由。
②が強い方の理由だと思っています。

まずは①の弱い方の理由から詰めていきましょうか!

①湿度と濡れを考慮していない

出典:日本化学繊維協会

この画像が分かりやすいでしょうか。
よくある防水透湿素材の概要図ですね。

湿度は下から通して、水は防いでいます。

だけど見てください、水滴がある場所からは水蒸気が通っていません。

ちょいと適当な概要図を作ってみましたが、こんな感じ。
水滴がある部分からは、蒸気が逃げていません。

水滴は通さないが、水蒸気は通る。
そんな粒度の違いから、ゴアテックスのような防水透湿生地は成立します。

水が表面を覆ってしまえば、水蒸気は逃げ場を失います。

つまり、2㎡(レインウェアの面積)のうち、水滴がついている分の体積は、透湿性の機能が停止しているということ。

びちゃびちゃになってしまったレインウェアは、水蒸気が通る穴を塞いでいるのと同等。

撥水性が大切。
そう言われるわけがこれですね。

あくまで実験が示す数値は、乾いた状態での透湿性を表しているので。

※ちょっとここで追加情報

出典:山と道ラボ

ULギアの「山と道」さんが、実験までしてくれていました。

やっぱり思っていた通り、というかむしろ思っていた以上です。

外の湿度が低ければ透湿するが、外の湿度が高ければ(95%)全く透湿しないウェアも多い。

ということ。

むしろ、外からの湿度が逆流するウェアも存在しました。

たなりょう

これがよく言われる方の、弱い方の理由①です。

次はちょっと、意外な理由になるかもしれません。

ゆーすけ

次は本質に迫っていくで!

そもそも実験方法が間違っている?

出典:finetrack

国内の透湿性の数値には、2種類の表記があることを皆様ご存じでしたか?

公式に採用しているのは、JIS-L1099 という検査法。
うち国内では、JIS-L1099のA-1法とB-2法といものが採用されているようです。

以下はちょっとした情報。

JISとは日本産業規格のことなので、どれも公式なのは変わりありません。
ですがJIS-L1099 は、A-1法・A-2法・B-1法・B-2法・B-3法・C法の、6種類あります。
このうち、B-3法とC法が国際規格で、そのほかは国際規格に規定されていないとのこと。

上記をまとめますと、こうなります。

国際基準(ISO)ではないが、各ブランドは日本の工業規格であるJISの検査2種を用いて測定している。
なお、2種のうちA-1法を選ぶかB-1法を選ぶかは自由な状態である。

ここ、重要なので3回言います(笑)

ゆーすけ

A-1法を選ぶか、B-1法を選ぶかは自由である!

たなりょう

A-1法を選ぶか、B-1法を選ぶかは自由であるっ!

A-1法ってどんな試験?

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